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農業を営む自分にとって、収穫を終えると暇になる。 中には来春まで内職をしているところもあるようだが、生憎とそんな事をしなくても十分暮らせるだけの蓄えは出来た。 年配者が寄り付かなかった、河童の新型農作具の使用。 それに、永遠亭の農薬。 それらは自然の摂理のように若い自分達が使用することになり、結果は大成功。 知り合いの若い奴らも温泉や文々。新聞の定期購読に充てている。 しかし、自分は生憎そういう趣味は無く、お金の一部を使って寺子屋に若干の備品を寄付しただけである。 それだけで十分。 その後、春まで悠々自適に過ごそうとしていた矢先、件の河童が家を訪ねてきた。 「厄神様と温泉に言ってくるから、この実験を行って欲しい。もちろん報酬は出す」 との事で、実験の目的は分からなかったが、頭のいい河童のする事と割り切り、特にする当ても無かった自分は 快くその提案を受け入れた。 内容は、あの河童から受けたこともあり、予想通りゆっくり関係だった。 大きなダンボールに入った数個の道具。 その操作を一週間ほどかけて理解していたら、早々に実験を開始する事になってしまった。 何せ、時間が無いから。 最初にすることは、人里近くの平地の真ん中に、特製のゆっくりハウスを設置した。 このハウス、表面は岩の素材で偽装してあり、ゆっくりなら絶対に見分けることは出来ないだろう。 いや、人間の家も見抜けないのだから、考えるだけ無駄かもしれないが……。 物陰から観察することしばし。 「ゆゆ!! こんなところにおあつらえむきのどーくつがあるよ!!」 「ほんとだ!! ここのどーくつさんは、ゆっくりできるかな!!?」 「こんにちは!! ゆっくりしていってね!!!」 予想通り、こんなところに洞穴が存在することを不思議に思わないゆっくり一家が掛かった。 ……なんというか、やはり霊夢一家だった。 「ゆっゆ♪ ここはだれもいないみたいだから、れいむたちのおーちにしようね!!」 遠慮もなしに中へ入り、ひとしきり物色したのに、自分達の家にすることに決めたようだ。 なんだか、入るときから自分の家と決め付けていたようなきもしたが。 「いまのおーちよりひろいから、ゆっくりできそうだね!!」 最近生んだのだろう沢山の赤ちゃんゆっくりと一緒に、サイズだけ大きくなった母ゆっくりのようだ。 越冬生活が迫ったこの時期に、ただ単に散歩そしていただけのことはある。 「たべものと、ゆっくりぐっつをもってこようね!!」 そんな事を話しながら、いったん帰っていった能天気一家。 暫くして、わいわい騒ぎながら戻ってきた戻ってきた。 「ゆ~~♪ ゆゆゆゆゆ~~~~~♪」 「ゆっくり~~~♪ してぇ~~~~~♪ っ!! いってねぇ~~~~~~~~♪」 「いってね~~~~~~~~♪」 「ちぇね~~~♪」 随分ご機嫌な様子で、一家でコーラスのような会話をしながら戻ってきた。 楽しんで話しているのだろうが、こうしてみると物凄く頭が弱そうに見える。 「ゆしょ!! それじゃあ、ゆっくりひっこしするよ!!」 運んできたのは食べ物、それと宝物であろうモノ、そして大きな葉っぱと蔓で縛られた枝。 おそらく、それらがゆっくりセットなのだろう。 「ゆ!! てーぶるはここにおいてね!! いすはこっちだよ!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 母親の号令で、ゆっくりにしてはテキパキと巣の中を整理していく。 奥に食べ物を置き、一番広い空間にテーブルと呼んでいた葉っぱと枝のオブジェ。 その一角に、イスと呼ばれた枝と蔓のオブジェを置いて完成らしい。 全てが終わるのに、時計の短針は必要はなかった。 「ゆ♪ それじゃあきょうはここまでにして、あしたからはいりぐちをうめよ~~ね♪」 「ゆっくりりかいしたよ♪」 今日は出てくる雰囲気がなかったので、俺はこの場を後にした。 「~~~~♪ っ!! ゆっくりぃ~~~♪」 「~~~♪」 「~~♪」 巣の中からは、楽しそうな会話が響いていた。 数日後の事である。 「ゆっくり~~♪ ゆっゆゆゆ!!! していってね~~~♪」 「ゆ~~~♪ ゆっきゅりきゅり~~~~♪」 工事現場よろしく、騒音が入り混じる中着々と入り口を塞ぐ作業を終え、いよいよ越冬の準備に入った一家。 流石に一介の人間に透視能力はないので、中に設置した監視カメラと言うものの映像に切り替える。 「ゆ~~♪ ひろいね!!」 「たのしくえっとーできそうだね!!」 中では、越冬するだけとなった一家が楽しそうにくつろいでいた。 母親の周りに集まった子供達が、わいわいと話している。 「ゆっゆ♪ えっとうさんが~~~♪ たのしくなったらど~~しよ♪」 「ど~しよ♪」 …… 「ゆぴ~~~♪ ゆぴ~~♪ し☆あ☆わ☆せ☆~♪」 「ゆ~~♪ ゆ~~♪」 「ゆっきゅ~~~♪」 暫く監視していたところ、一家仲良く寝入ってしまったので、後は録画に任せ、自分も家に戻ることにした。 「ゆ~~~♪ おはぎおいち~~~~~♪ むにゃ……」 雪が降り始め、既に一面の銀世界となった頃。 「ゆっくりしようね!!」 「きょうはゆりすますのひだよ!!」 巣の中では、なにやら賑やかだった。 「ゆ!! しってるりょ!! いいゆっくりのこどものとこりゃに、うーぱっくがゆっきゅりできりゅもにょを、おい ていっちぇくれりゅんだよ!!」 「ゆ!! さすがれいむのこだけあってよくしってるね!! それじゃあ、きょうははやくゆっくりねないとね!!」 「ゆ~~♪ ゆっきゅりねるねりゅ!!!」 会話を聞くと、どうやら今日はゆっくりにとって何かのお祭りごとらしい。 二日間で食いきれなかった鳥のモモ肉をかじりながら、一家をさらに観察する。 その後に始まった食事は、あの葉っぱの上に食べ物をのせがっつく一家と、赤ちゃん以外が乗ったら壊れるであろう イスのオブジェに座った赤ちゃんの音頭で歌を歌ったところで、終了した。 今日はこれで帰ろうかと思ってきたが、先ほどの会話が気になったので暫く残ってみることにした。 「う~~~♪ うっう~~♪ うあうあ~~♪」 夜遅くまで張り込みをしてみたところ、本当にうーぱっくが何かを運んできた。 「うっぎゃーーー!! うあーーーー!!!!」 れみりゃ種特有のカワイガリたくなる様な笑顔を浮かべまっすぐこちらに飛んでくる。 余りにもまっすぐ飛んでくるので、捕まえて中身を確認してみた。 「うあーー!! それはちがうーー!! ちがうーーーー!!!!」 何てことはない、ただの綺麗な石ころだった。 おそらくはこれが子供達へのお届けモノのようだが、ただの石なので雪原の中に捨てる。 「うあーー!! おとどけものがーーーー!!!」 泣き顔になったうーぱっくが雪の中に顔を突っ込み、必死で石ころを探そうとしている。 しかし、新雪に沈んだ石ころが見つかるはずも無く、雪が張り付いた顔が涙でグシャグシャになっただけだ。 「うあーーー!! ないーー!! おとどけものがないーーー!!!!」 その光景を見ていたら、十分厚着をしている自分も、心なしか寒くなったのでこのダンボールで暖をとる事にした。 「う!! はなぜ!! おとどけものーー!! さがすのーー!!!」 一端を破いて火をつける。 「うーーー!!! うぎゃーーーー!!!!」 ある程度水気を弾くのか、すんなりと火が移り、次第に全体へ燃え広がっていく。 大抵のダンボールよりもはるかに長い時間燃焼し、燃え尽きる頃には体の心まで温まることが出来た。 ほんのりと、汗が出てきた。 「……う、ぁー……。おとどけもの……がー……。かぞくの、ごはんがー……」 体が温まったところで、冷えないうちに家に戻ることにした。 ※REC 「ゆ~~……。う~~ぱっくおそいね」 「しっ♪ し~~ね♪ しずかにね、いもうとたちがおきちゃうよ!!」 「ゆゆ!! ごめんね!!! ……でも、ことしはこないのかな?」 「きっとあたらしくひっこしてきたから、きづかなかったんだね!!」 「なら、じゅんびしてたたべものも、れいむたちのしょくりょうにまわそうね!!!」 「そうだね!! そのまえに、もっとしっかりいりぐちをとじるよ!!!」 今日は大寒、外は大雪。 いよいよ、撮影も大詰めになった。 「ゆ~~♪ ことしはたべものがいっぱいあるね!!」 「しかも、あったかいよ!!」 「これなら、らくにふゆをこせるね」 「し☆あ☆わ☆せ☆~♪」 断熱材入りのこの巣の中の一家は随分と幸せそうだ。 一家全体での、しあわせコールを聞き、ここらが頃合だと判断して最後の準備に取り掛かる。 「ゆきがとけたら、れいみゅはいっぴゃいはちるよ!!」 「れいむは、まりさともっといっしょにいるよ!!」 「ゆゆ♪ ふぁーすとちゅっちゅもちかそうだね!!」 「んっもう♪ おか~さんはうるさいよ♪」 良いなぁ、いかにも一家団欒と言う風景だ。 それじゃあ、スイッチ入れますか。 Pi ♪ あらかじめ準備しておいたスイッチを押すと、この巣は様変わりする。 どのように変わるかと言うと、四方の壁が外側に倒れる。 大まかに三角錐の形状をしているので、天井まですっきりなくなるのだ。 うまくいくか不安だったが、結果はご覧の通り。 「……ゆ?」 「ゆっきゅり?」 まさに目が点になるとはこのことであろう。 先ほどまで暖かい巣の中に居た一家は、猛烈な吹雪が吹き付ける極寒の雪原に放り出されたのだから。 未だ健在の監視カメラが、テントの中のこちらまでしっかりと鮮明な映像を送ってくれる。 「ゆゆゆ!! ざむいよ!! なにがあったの!!」 「ゆっくりりかいできないよ!!」 「ゆーー!! しゃむいよ!! しゃむいよーー!!」 突然のこの事態に、まるでただの饅頭のように固まるゆっくり達。 そんな中で、一番初めに行動を起こしたのは、母親ゆっくりだった。 「ゆ!! おちびちゃんたちは、おかーさんのおくちのなかに、はいってね!!」 赤ちゃん達を口に中へ入れ、改めて姉達と一緒に状況を確認する。 確認することも無いだろう、四つの壁が綺麗に外側に倒れ、どんどん雪に埋まっているだけだ。 「ゆ!! おうちがこわれたんだよ!!」 それに気付くまでに、かなりの時間を要したが、どうやらキチンと理解できたようだ。 「そんな!! と゛う゛し゛て゛ーーー!!!」 猛烈な風で体を震わせながらの母親の絶叫。 口の中に子供達を入れているためか、いまいち迫力がない。 「ゆーー!! どうするの!! どうするの!!!」 「ゆ~~……。もとのおうちにもどるか、にんげんのおーちにこっそりはいるかだよ!!」 「ゆっくりきめてね!! はやくきめてね!!!」 ゆっくり経験の少ない姉妹達は大慌てで母親を急かす。 しかし、餡子脳のゆっくりに同等のものを選ぶことは難しいらしく、なかなか決まらない。 「ゆー……。れいみゅいいこになりゅから、ゆっくりちちゃいよ……」 待つこと十数分。 ついに赤ちゃんたちは弱ってきたらしい。 口の中といっても、冷気を完全に遮断できるわけでは無い。 まして、相談の為に、何度も口を開いていたらさらに効果は薄いだろう。 ここまでくれば後は良い。 下の巣がある方向は風上、しかも食べ物やご自慢のゆっくりセットは既に雪の中。 それに、この辺りの民家は、外界の技術が取り入れられ、二重戸の一軒屋で蔵などはもうない。 どちらにせよ同じ結末になるものを見るほど俺は暇ではない。 それに、実験の概要もここで終了となっている。 機材をまとめ、自分はこの場を後にした。 すでに一家はどこかに移動したらしく歩いた跡と思われるコブが数箇所に出来ているだけであった。 その春、約束どおり河童は新しい農作用具を貸してくれた。 トラクタというこの機械、今まで時間の掛かっていた畑の掘り起しが、のさばっているゆっくりごと出来るすばらしい機械だった。 このSSに感想を付ける
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飼い主としての 4KB 小ネタ ちょっとシモの表現があります 右手のリードを弄びながら、何とはなしに空を見上げると、真っ青な空が広がっていた。 少し前までの肌寒さも影をひそめ、ぽかぽかとした陽の光が体に心地よい。 もう半そででもいいくらい――というのは流石に言いすぎか。 小春日和、散歩日和。 こんな日は気分も大らかになろうというものだ。 「おにいしゃん! ゆっくちおねがいしゅるよ! きゃわいいれいみゅがおねがいしゅるよ!」 媚びるように体をくねくねさせるれいむの、いきなりの『お願い』とやらを聞いてやる気になったのも、この陽気のせいだろう。 甘い顔をするのはよくないのだろうが、こんな気持ちのいい日にわざわざ目くじらを立てるのも馬鹿馬鹿しい。どうせ「あまあまちょうだいにぇ!」とかなんとか、そんなところだ。たかが知れている。 ちょうど俺のポケットには食べ物が入っている。――あいにく甘いものではないが。 散歩中いつでも与えられるようにと、ペットフードを持ってきているのだ。甘い飼い主だと自分でも思うが――まあ実際、何事にも俺は甘いのだろう。 リードをいじりながら、俺はれいむに尋ねる。 「お願い? 何だ?」 「ゆふふ~ん! ききちゃい? おにいしゃんは、きゃわいいれいみゅのおねがいをききちゃいの?」 「……もう帰るぞ?」 少しだけカチンときてしまった。 右手をひねり、弛んだリードを手首に巻く。そしてれいむから顔を背けると、 「ゆわわっ! ゆっくちごめんにぇ! ゆっくちしていっちぇにぇ!」 慌てた様子のれいむは、飛び跳ねながら、揉み上げを器用に上下させはじめた。――いわゆる『愛で派』ならイチコロの仕草だろう。 「……で、お願いってのは何なんだよ」 いっそ無視しても良かったが、この辺が俺の甘いところだ。 「ゆっ! あにょね! じつは、れいみゅが――」 あっ、と思った時には、れいむが大きな影に圧し掛かられていた。 「ゆびゃあああああああっ!? やめちぇ……やめちぇえええええっ!!」 「うわっ、ちょっと待て! 待て!」 言いながら、俺は右手のリードを軽く引いて、千切れんばかりに尻尾を振りながられいむにかぶりついているポチ――俺の愛犬――を制止した。 「なんでいぬしゃんがいるにょおおおおおおっ!? いぢゃっ……いぢゃいいいいいいいっ!! れいみゅのきゃわいいおかおっ! おきゃおがあああああっ!?」 れいむは、そこの草藪の中で排泄していたポチに気づかなかったらしい。入れ違いに少し離れた草藪から出てきたから仕方ないのかもしれないが、それでも俺の手にあるリード――もちろん、ポチにつながっている――を見ればわかりそうなものだ。――いや、ゆっくりにそんな事を言うのは酷か。 「ポチ、待て! ――よーし、いい子だ」 ポチは咥えていたれいむを放し、俺に向き直った。 なおも尻尾を振りながら、何かを期待しているような目で俺を見上げるポチ。俺は腰をかがめ、その小さな頭に軽くチョップした。 「拾い食いは駄目だって言ってるだろ? 病気になっちゃうぞ?」 ポチは――犬は、甘いものも、ちょこまかと動く物体も大好きだ。そんな彼らにとって、ゆっくりは格好の遊び相手なのだろう。それはわかる。ましてやポチはまだ仔犬。遊びたい盛りだ。 しかし、だからといって好き勝手に遊ばせるわけにはいかない。おもちゃにするだけならともかく、下手に口に入れられでもしたらことだ。野良ゆっくりなんて不衛生の塊だし、糖分の取り過ぎだって怖い。今日び、飼い主たるもの、自分だけでなくペットのメタボにも注意しなくてはいけないのだ。 俺はポケットからペットフード――犬用ジャーキーを取り出し、小指の先ほどにちぎって、ポチの口に運んでやった。 尻尾を振りながら満足そうに口を動かすポチの頭を、わしわしと撫でてやる。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 俺たちの足元で、れいむは小刻みに痙攣していた。両目は潰れ、いびつに開かれた口と泌尿器からは、だらしなく砂糖水を垂れ流している。 ポチに噛まれたその柔らかい体は、右上から左下にかけて袈裟懸けにぱっくりと割れて、中からは餡子が漏れ出していた。まるで石榴のようだ。 素人目にもわかる――これはもう駄目だ。死ぬ。 そう思った俺は、最期にれいむに尋ねた。 「れいむ、『お願い』って何だったんだ?」 「……ゆ゛っ……もっどゆっくち、しちゃ……かった……」 そう言ったきり、れいむは動かなくなった。 もっとゆっくりしたかった――。 それが俺への『お願い』だったのだろうか。――いや、それはないか。 ともあれ、もうどうでもいい話だ。野良ゆっくりの『お願い』なんて、たかが知れている。 俺は左手に下げたトートバッグからスコップを取り出し、れいむの死体を拾った。そのまま草藪に入り、ポチのフンも拾う。 そしてそれらを、同じくトートバッグに常備しているエチケット袋に突っ込んだ。 れいむは放っておいても良かったが――ゆっくりの死体なんて珍しくもない――ポチのせいでこうなってしまった以上、そういうわけにもいかない。 フンの回収と同じ。言ってみれば、これは飼い主としてのマナーというものだ。 (了) 作:藪あき 藪あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 見ず知らずの野良のくせに「ききちゃい?おにいしゃんは、きゃわいいれいみゅのおねがいをききちゃいの?」だと…! 一瞬で地獄見せられてもおかしくないレベルのウザさなのに、優しいお兄さんだ。 -- 2011-01-21 22 17 35 ゆっくりが飼いかとおもってだまされたよww -- 2010-07-25 04 34 35 ポチは名犬だなぁ! 偉いぞ!とっても!! -- 2010-07-17 22 33 45 犬よくやたw -- 2010-07-17 13 13 51 NICE DOG -- 2010-07-12 13 11 20
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『ゆゆ~♪おとーさんとおかーさんのほっぺたあったかいよ~♪』 「みんなでくっついてればさむくないね!!!」 「ゆっくりはるをまとうね!!!」 冬、十分な備蓄と準備の下ゆっくり達の冬越えが始まる 家族みんなで身を寄せ合い、溜め込んだ餌を食べ、春に思いを馳せながらゆっくりすごす 冬越え、といっても冬眠ではなく単に巣の中でゆっくり春を待つ 『みんなでゆっくりするのもひさしぶりだね!!!れーむ、しあわせ~♪』 「はるがきてもげんきにがんばろうね!!!」 「れーむははるがきたらどうするの?じぶんのゆっくりぷれいすさがしにいく?」 『ゆゆっ!?じぶんだけのゆっくりぷれいす?』 「おとーさんとおかーさんはここがゆっくりぷれいすだけど、れーむにもじぶんだけのゆっくりぷれいすがあるはずだよ!!!」 『ゆ~、みんなとゆっくりしたいけど・・・じぶんだけのゆっくりぷれいすがほしいよ!!』 「じゃあきまりだね!!ゆっくりぷれいすをみつける”コツ”をおしえるよ!!」 『ゆっくりおぼえるよ!!!』 「ゆっくりれみりゃはだっこしてあそんでくれるけど、ちからがつよいからきをつけてね!!!」 「うーぱっくはいろんなところにつれていってくれるから、すごくゆっくりできるよ!!!」 「ありすははずかしがりやさんですぐほっぺをすりすりしてくるけど、いやがらないであげてね!!!」 そのほかにも、餌場の事、巣を構える場所の条件など親ゆっくりはゆっくり丁寧に教えていった 『ゆ~・・・ゆっくりぷれいすをみつけるのはたいへんそうだね・・・』 「「ゆっくりがんばってね!!!」」 「まりさ!!まどのそとをみてね!!ゆきがやんでるみたいだよ!!!」 「ほんと!?そろそろはるもちかいね!!!ゆきがとけたらいりぐちをあけようね!!!」 『ゆきさん!!はやくとけてね!!!』 春、この家族から一匹のゆっくりが旅立った、自分だけのゆっくりぷれいすを求めて きっとこのゆっくりも家族を作り、子を育て、冬を超え、自分の子を送り出していくのだろう 『おかーさん!!!おとーさん!!!いままでありがとう!!!』 「「ゆっくりがんばってね!!!おとーさんとおかーさんとのやくそくだよ!!!」」 『ゆっくりいってきます!!!』 ~おわり~ 餌ってアンタ・・・・ -- 名無しさん (2012-05-11 00 26 38) ↑な、何かの間違いだよきっと、じ、自分たちの食料を餌だなんて・・・ -- 名無しさん (2012-12-24 17 47 00) 名前 コメント
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ほとんどコピペです すいません 魔理沙、友達思いで行動力のあるリーダー、仲間のために自分が犠牲になることも。 魔理沙、ずる賢く自分が助かるためならどんな事でもする汚い性格。 霊夢、純真無垢で人を疑うことを知らない優しい子。 霊夢、群れて調子に乗る上に我が儘ですぐぐずるウザいまんじゅう。 お母さん霊夢、子供達を心の底から愛し、最後まで子供を守る優しいお母さん。 お母さん霊夢、自分が飢えると子供を食ってしまう般若に変身するお母さん。 アリス、とかいはを自称しプライドが高いが、ツンデレで面倒見もいい。 アリス、一考えてることの逆を言う習性があるようだ。 アリス、とかいはとかいはと無駄にプライドが高く、自分を他より特別な存在と思い込んでいる。 アリス、発情すると子供はおろか死体にまで性交を試みる色欲の塊。 パチュリー、病弱だが知識は他のゆっくりより高く、群れのブレーンを勤める。 パチュリー、病弱な振りをし同情を誘おうとする汚い性格。 パチュリー、チラシの類でも本と認識するらしい パチュリー、識字能力は他のゆっくりと大差は無い パチュリー、部屋に文字のある物があると、その部屋を自分のとしょかんと言い張って読みたがる。(体つきに主にみられる特徴) みょん、ちーんぽっ! ちぇん、わかるわかるよー ちぇん、虐待厨は死ね!に始まる罵詈雑言を浴びせかけてくる。 レミリア、うーうーとしか言えないおしゃまなお嬢様。希少種だが紅魔館付近には多く生息する。 レミリア、ぷでぃんぷでぃん煩く、困ると咲夜に助けを求める。自身を紅魔館の主と思い込んでいる。 フラン、残虐非道なハンター、獲物をなぶり殺す事を最大の快楽とする。 レティ、巨大で鈍重なハンター、素早く動く舌で器用に獲物を捕る。頬に獲物を溜める性質も。 幽々子、巨大だが俊敏なハンター、恐るべき速度で移動しながらゆっくりをむさぼり食う。 幽々子、俺の胃袋は、宇宙なんだよ… 幽々子、こぼねー ゆうか、綺麗な花が咲く所によく見られる。 のうかりん、田舎に住んでいる幽香の母親。時々収穫物を幽香に送る。 のうかりん、スレ住民にらっきょうを育てる方法を教えてくれる。 天子、ブロント様。 天子、ドM。 きめぇ丸、強いものには逆らわない、ゆっくり種が大嫌い。 きめぇ丸、突如首を高速で振動させるという奇癖を持っている。 美鈴、何かを守る習性を持つ他のゆっくりを思いやる優しいゆっくり。「じゃおおおん!」と鳴く。 美鈴、ずっと寝てばかりいる癖に報酬は要求する怠け者。 チルノ、お馬鹿だけど優しく花も育てたりするゆっくり。息は冷たく、ゆっくり程度なら凍らせられる。 チルノ、後先考えずに行動するから他の生き物に迷惑をかけるゆっくり。 神奈子、背中にオンバシラという飴を背負い、それを飛ばして攻撃する。 神奈子、しめ縄っぽいのはドーナッツ。うめぇ、めっちゃうめぇ! 諏訪湖、ゆっくりを食う帽子を被り、ゆっくりを食べさせたり自分が食べられたりしている。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3036.html
ゆっくり虐待スレ80の 782 784 で指定されたシチュエーションを787 789で指定されたゆっくりを書きました しっと団であふれるクリスマスの町 泡展望の惨太苦蝋子 ケーキとして材料にされていくゆっくり かなこんとけろちゃんとさなえ 慌てん坊のゆっくりサンタともりゃじんじゃ 幻想卿にも冬が訪れようとしていた 秋の神が季節のバトンを冬を告げる妖怪に托し、既にチラホラと雪が降り始めている 野生の動物たちも冬籠もりの準備を始め、それはゆっくりも同様だった 「ゆっくりとうみんしようね!」 「おちびちゃんたちはこっちにきてね」 一組のまりさとれいむの番 この二匹は木の根の下に穴を掘り自分たちの巣を作っていた 丁度成体のゆっくりが4匹ほど入れるほどの大きさであり、4匹の子ども達を入れても十分な大きさである れいむが巣の入口を塞ぎこの一家の冬籠もりが始まった れいむが巣を塞いだあと、森に異変が起きた 冬籠もりを始めたゆっくりの巣を掘り返す一団が現れた 彼らはしっと団 一人寂しくクリスマスを過ごしているこの世全てのカップルを撲滅するというスローガンを掲げて暴れている集団だ 人間の里で暴れているところを上白沢慧音に見つかったためこの森にやってきた 「ゆっくりごときが彼女を冬籠もりなんざ俺達がゆるさねえぜえええ!!」 「やめてね!まりさたちのごはんをもってかないでね!」 「うるせえ!てめえみたいな饅頭はこうだ!」 男はくらいつくゆっくりまりさを掴むと口から舌を引っ張り出しからしを塗りたくった 「がらい”い”い”い”!」 「おきゃーしゃんをいじめにゃいでね!」 子まりさが奥から母を心配してやってきた それをみたしっと団はさらに激昂し 「ヒャッハア!ならおまえが助けてやりな!」 子まりさを掴むと子まりさをまるでたわしのように使って親まりさの舌を吹き出した 「いぢゃいよお”お”お”お”!!ぎゃらいよお”お”お”!」 「お”ひ”び”ぢゃ”ん”ん”ん”!!」 結局この親子は冬籠もり用の餌を奪われ巣もメチャメチャに破壊されてしまった もはや冬を生きて越すことは不可能だろう 他のゆっくり達も時間に差はあれど皆一様に巣に篭もり冬籠もりを始めていた しかし、越冬用の食糧が十分でないゆっくりも存在する そのようなゆっくりはラストスパートとばかりに寒空の中食べられるものを必死で探している 運良く見つかるものもいれば運悪く見つからないものもいる そんな中、一匹のれいむが餌を口の頬張りながらポヨンポヨンと一生懸命走っていた 「いそいでおうちにかえるよ!」 れいむは運良く食べられる草と木の実を見つけることが出来た そうして最後の食糧を巣で待っているまりさと3匹の子どもの元へと急いでいる この番はまりさが母親でれいむが父親である 母親役をすることが多いれいむであったが自慢の狩りの腕で父親役をこなしていた そして丁度れいむが自分の巣の近くまで来たときだった 「きゅうにくらくなったよ?」 まだ昼なのであるがれいむの視界に影が落ちる 冬とはいえ明るかったのだがちょうど自分がいる場所に四角い影が出来ている 「めりーゆっくりすます!」 「うーゆっくりすます!」 「れ、れみりゃとふらん!!?」 声に驚いてれいむが上を見上げるとそこには大きなうーぱっくに乗ったれみりゃとふらん 二人が乗ってもうーぱっくにはまだまだ余剰スペースがあり、そこには大きな白い袋が置かれていた その袋は中に入っているものが暴れているようでがさごそと袋を突き破ろうとしている 「うーしずかにするんだどぉー♪」 れみりゃが五月蠅い袋を右手でポカン、と叩くと袋は静かになった れいむはれみりゃの姿に驚いていた 普段来ている婆臭いおべべではなく、袖口に白いフリフリを付けた赤い服を着ている それはふらんも同じでその上二人とも普段いつもつけている帽子の上に丁度今着ている服とマッチする赤い帽子を被っていた そしてその帽子にはきらりと輝くゴールドバッジ 「うーぷれぜんとをみつけたよ♪」 驚いて固まってしまったれいむをつまみ上げてふらんは袋に押し込んでいく 「やめてね、れいむにはまりさとおちびちゃんがいるんだよ!」 「うー♪」 れいむを袋に押し込むと二匹はうーぱっくに指示を出して飛び去っていった 残された家族はれいむを待ち続けたがいっこうにれいむが戻ってこないため 自分たちだけで冬籠もりを始めてしまった 人間の里、そこでも雪が降りしきる中それぞれの冬を過ごしている 炬燵で暖まるもの、商売をするもの、寺子屋に行くもの。 その中である店が一風変わったサービスを開始していた それはゆっくりによるクリスマスケーキの配達である 意外なことに好評を博し予約完売という状況だ ケーキも一般的な生クリームを使用しいちごをのせたものからチョコクリームを使用したものまで多種多様に存在する それをサンタクロースに扮したゆっくりが配達するためゆっくり好きから莫大な支持を得ることに成功した そして先ほどれいむを捕獲したれみりゃとふらんがその店へと降り立つ 「お、帰ってきたか」 「たくさんとっきたどぉ〜♪」 「うー♪いっぱい♪」 二匹はこの店で飼われているゆっくりだ 捕食種でありながら幼い頃から育てられたためにとても店主である青年に懐いていた 青年は袋を受け取ると中を確認する 「はやくまりさをいえにかえすんだぜ!」 「むぎゅ!ふゆがこえられないわ!」 袋を開けると中から叫び声が上がる 袋の中には沢山のゆっくりが詰まっていた 番のまりさとぱちゅりーや先ほどのれいむと二匹が捕まえてきた野生のゆっくりだ 「わからないよーここはどこー?」 「おうちにかえすちーんぽ」 袋がパンパンになるほどギュウギュウに押し込まれたゆっくりが口々に文句を言うも 青年は中を確認すると袋の先を閉じギュッと結んでしまった こうなってはゆっくりが脱出する術はない 男は袋を別室に運ぶとれみりゃとふらんに甘いお菓子を与えた 「よくやってくれたな、これだけあれば十分だ」 「う〜♪おぜうさまにはぞうさもないんだどぉ〜♪」 「うー♪」 お菓子を食べながら喜びに浸っていた この青年はこの二匹をよく躾けていた 褒めるときは褒め、叱るときは叱る 二匹は客の前に出ても失礼なことをしないまでになり、ついにはゴールドバッジを取得することも出来た そして配達を任せられるようにまでなったのだ 「よし、じゃ最後にこれを山の守矢神社まで配達してくれるか?」 「分かったどぉ〜♪」 「運ぶ〜!」 青年は小さな箱を二匹に預けた それを二匹はうーぱっくに乗り配達させる 「う〜♪」 ちょうどうーぱっくも配達の礼として余り物のケーキを食べていたところだ 「う〜さいごのはいたつにいくどぉ〜」 「うーぱっくもはやくじゅんび〜♪」 うーぱっくがケーキを食べ終えると二匹は再び空へと舞い上がった 配達を任された箱はケーキだと説明されていたので中のケーキが崩れないようにしっかりと押さえながら 冬空の下を飛ぶうーぱっく その中に乗っているれみりゃとふらんはサンタの服のおかげで寒さをあまり感じなかった 二匹はサンタ服をとても気に入っていた 「うーめりーゆっくりすます♪」 「う〜めりーゆっくりすますだどぉ〜♪」 二匹が守矢神社に向かった後青年は先ほどのゆっくりが詰まった白い袋を持ってとある場所へと向かっていた ゆっくりを二匹に捕まえさせていたのはこのためだ 二匹は青年へのプレゼントだと思っているが青年の思惑は別にあった 「こんにちは」 目的地に着くと青年は丁寧に挨拶をし、中へと入っていく そこで袋を顔見知りとなったここで働いている男へと差し出す 「これをお願いします」 「分かりました」 袋を差し出された男はそれを受け取ると袋を更に別室へと運んでいく 青年はその間、椅子に座って差し出されたお茶を出しながら目的が終わるのを待っている 青年が持ってきた袋は別室で開封された そこからわらわらと詰められていたゆっくり達が押し出てくる 元より袋の容量を多めに入っていたために雪崩のように崩れ出た 一匹のまりさがようやく袋から解放されゆっくり出来ると思っていると急に床が動き出した 「ゆ?」 同じく他のゆっくりも床が動き出したことに戸惑っていた 動く床に連れられ進んでいるとまりさの元に大きな手がやってきた その手はあろうことかまりさの帽子を掴み上げると別の場所に持ち去っていた 「やめてね!てさん、まりさのぼうしをかえしてね!」 帽子を失うとゆっくりは他のゆっくりから変なゆっくりと認識されてしまう そして帽子がないと言うだけで殺されてしまうこともある まりさは必死に手を追いかけるが床が動いてるため追いかけても進んだ分だけ着地した瞬間に戻されるというのを繰り返した それは他のゆっくりも同様だった れいむはリボンを、ありすはカチューシャを、パチュリーとちぇんは帽子を手に奪われていた 「むきゅぅぅ!!」 「ありすのかちゅーしゃをかえしなさい!」 「わからないよー!かえしてよー!」 ピョンピョン跳びはねるも非常にも床が動いているため全てのゆっくりが髪飾りを失ってしまった ゆっくり達が悲しんでいると突然ヒュンッと音がした すると一番前にいたまりさの頭が少し切られて上から中の餡子が見える状態となった 「ゆぎゃあああ!!ばでぃざのあだまがあああ!!」 それを皮切りに次々とヒュンッと音がするたびに頭が切られて中身が見える状態となった 「やべでええええ!!」 「ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉ」 「ゆええええん!!」 阿鼻叫喚がそこにあった ゆっくりが涙を流し動く床によって運ばれていき、終着点へと着いた そこには白い服を着た人間が大勢いた 人間達はてきぱきと運ばれてきたゆっくりを仕分けしていた 稀に髪飾りを付けたままのゆっくりを見つけるとそれを手で取り外し頭をカットし仕分けしていく 今し方運ばれてきたゆっくり達も同じ様種別事に分けられ別の場所へと運ばれる ぱちゅりーとちぇんは同じ場所に運ばれてきた ぱちゅりー種とちぇん種 この二匹は中身が生クリームとチョコクリームである またもや動く床の上に乗せられたゆっくり達 目の前にはまたもや手がある その手はゆっくりを掴むと器用に中身を絞り出し容器へと溜めていく あっと言う間に大量の生クリームとチョコクリームのできあがりだ そう、ここは加工場 青年はここでケーキに欠かせない生クリームを仕入れに来たのだ 勿論、他のゆっくりも洋菓子を作る以上欠かせない存在であり彼の店の商品へと変わる 髪飾りも加工されケーキのデコレーションに利用される しかし、青年はそこを知り合いになった職員に頼み込み、ゆっくりから取り去った髪飾りを全く別のリボンへと作り替えてもらっていた 「こんなもの何に使うんですか?」 「ウチの飼いゆっくりが欲しがるんですよ」 職員にそう話すと男は洋菓子の材料を受け取り加工場を後にする 袋にはリボンを詰めてもらって 守矢神社では東風屋早苗が境内の掃除をしていた 冬が訪れ木枯らしが吹くがそれでも巫女のつとめを果たしていた 時折訪れる参拝客に挨拶をしているとそこにゆっくりがやってきた 「「めりーゆっくりすます!」」 うーぱっくに乗ったサンタれみりゃとふらんがやってきた 二匹はクリスマスの挨拶を交わすと早苗へ配達の品を差し出した 「あら、クリスマスにはまだ1日早いですよ?」 「う、うー?」 「うふふ♪慌てん坊のサンタクロースですね♪」 早苗は幻想卿に来る前にいた現代の歌を思い出した 慌てん坊のサンタクロース、クリスマス前にやってきた ちょうど今がその様な感じである 「宛名が八坂様になってますね、ちょっと待っててね」 宛名を確認すると早苗は神奈子を呼びに行った 早苗に呼ばれて変わるように神奈子が二匹の前に現れた 「あら、意外と早いのね。明日でもよかったのに」 この品は神奈子の注文である 里で見かけた洋菓子屋に注文していたものだ クリスマスケーキを早苗が注文していたので手間になるだろうから一緒でいいと言ったのだが青年が気を利かして別々に配達されることとなった 「う〜ちゃんとはいたつしたんだぉ〜♪」 「うーはんこをおしてね!」 品物を渡すと二匹は神奈子に受け取り確認のハンコをお願いする 神奈子がハンコを押すと二匹は配達が完了したことに喜び 「うーちゃんととどけたよ♪」 「れみりゃたちはちゃんとはいたつしたどぉ♪」 とうーぱっくの上で小躍りをしそうになった 「う〜!」 それには流石にうーぱっくも抗議した いかに自分が大きいとは言え二匹に中で踊られてはたまったものではない 「ごめんだどぉうーぱっく…」 「うーごめん…」 思わず神奈子がクスッと笑っていると早苗が神社の中から戻ってきた その手には三匹分のオレンジジュースが用意されている 「配達ご苦労さま、こんなのしかありませんがどうぞ」 これには三匹も喜んだ オレンジジュースと言えば怪我をしたゆっくりを治すほどのものである 三匹はそれを飲み干すと早苗にお礼を言い帰って行った 「おねえさんありがとぉだどぉ♪」 「ありがとう♪」 「うーうー♪」 早苗はゆっくり愛好家の1人で神社の周りのゆっくりに時々を餌を与えているほどである 無論、野生のゆっくりの舌が肥えないように気をつけて 「あんたも物好きだね早苗」 神奈子は先ほどのような礼儀正しいゆっくりには理解を示すが、野生の意地汚いゆっくりには理解を示さなかった それも野生を生きるためには必要だが、人語を話すためにどうにも不快感が増してしまう しかし、早苗は殆ど気にしていないようであった 「ところで八坂様、何をお頼みしたんですか?」 早苗は神奈子の手にある小さな箱を覗き込んだ 「それは開けてのお楽しみ。諏訪子も呼んでみんなでね」 「はい♪」 神奈子が頼んだのはモンブランであった その後、三人は美味しいモンブランで舌鼓を打った そうして翌日のクリスマス 妖怪の山、守矢神社の近くの群でも冬籠もりが始まろうとしていた 「ゆっくりしていってくださいね!」 この群には珍しいことにゆっくりさなえが存在していた それだけでなく、ゆっくりかなこ、けろちゃんまでもがいる非常に珍しい群だ 群れのリーダーはドスまりさだ そのドスまりさをかなことけろちゃんがサポートする形となり、この群は非常にゆっくりとしていた 通称、もりゃじんじゃである 野生のゆっくりが何故この時期まで外で生きていられるのかというと、近くの現人神の奇跡のおかげであった この群も明日には冬籠もりを開始する ドスがいるおかげもあって備蓄も順調で安心して巣に篭もることが出来る状態だ 「「めりーゆっくりすます!」」 そこにサンタれみりゃとふらんがやってきた この二匹は守矢神社に配達に行っているうちにこの群のゆっくり達と仲良くなり今では歓迎されるほどに有効な関係を築くことが出来た 「「「ゆっくりしていってね!」」」 二匹の登場に群のゆっくりが挨拶をする 群のゆっくり達は冬籠もりの前に二匹に会えたことを喜んでいた 「さんたさんがぷれぜんとをもってきたどぉ〜♪」 「うーまずはおちびちゃんたちから♪」 二匹はうーぱっくの中にある袋からリボンを取り出し、子どものゆっくりから順番にプレゼントであるリボンを付けていく 「すてきなおりぼんさんだね!」 まりさは帽子にリボンを付けてもらい、れいむは自分のリボンにもらったリボンを付けてもらった 皆、色とりどりのリボンを付けてもらえて大喜びである 「つぎはおかあさんたちー♪」 次に成体ゆっくりにもリボンを付けていく 「ありすにもとってもにあうとかいはなりぼんね♪」 「ちぇんにもつけてねー」 「ぱちゅりーにもおねがいね!」 ありすもカチューシャと色合いを兼ねたリボンをプレゼントされ、またちぇんも緑の帽子に映えるリボンをプレゼントされた ぱちゅりーもまたリボンを付けてもらった。 「うーぱちゅりーはこれでべんきょうしてね!」 ふらんがいつも仲良くしているぱちゅりー一家に一冊の本をプレゼントした この本は飼い主である青年が読まなくなった本である 「むきゅ!そんなのわるいわ、ぱちぇもおりぼんさんだけでじゅうぶんよ!」 「ぱちゅりーはたくさんごほんをよんでみんなをたすけるんだどぉ〜♪」 「…わかったわ、それじゃあこのごほんはいただくわね♪」 れみりゃからの後押しもありぱちゅりーは本をもらった その本は青年が山で取れる木の実を利用した菓子が作れないかと読んでいた本であり幸運にも春になってぱちゅりーが内容を少しでも学べていれば役に立つ本であった 「かなことけろちゃんにもりぼんをつけるどぉ〜♪」 慣れた手つきでかなことをけろちゃんにもリボンを付けていく 「おんばしらー♪」 「あーうーゆっくりありがとう!」 しかもこのけろちゃん、畜生帽ではなく普通の帽子を被っている突然変異種であった そのためリボンを付けても帽子が逃げたりする問題がなかった 最後にれみりゃとふらんはドスまりさの髪にリボンを付けた ドスまりさのリボンは信頼の証であり、他のゆっくりも時々ドスまりさにプレゼントしている 「ゆっくりありがとう!みんなもおれいを言ってね!」 「「「「「ありがとう、れみりゃ、ふらん♪」」」」」 「どういたしましてだどぉ〜♪」 「うー♪」 上機嫌な二匹。そして二匹にうーぱっくも交えてゆっくりすますを祝った 「れいむたちがおれいにゆっくりおうたをうたうよ!」 「れいみゅたちのおうたをれみりゃとふりゃんもゆっきゅりきいちぇね!」 祝いの場ではれいむの親子が中央で歌を歌っていた 赤ゆっくりと子ゆっくりがそれぞれゆっくり特有の歌を歌う 「ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、れみりゃとふりゃんは、しゃんたしゃん〜♪」 「ゆっくり〜ゆ〜ゆっくりゆ〜♪」 群でも屈指の歌声を誇るれいむ親子の歌にゆっくり達はうっとり、もといゆっくりしていた 「つぎはさなえたちがうたいますね!」 「あーうー!」 「おんばしらー!」 続いてはさなえ、けろちゃん、かなこ この三匹も歌が上手くれいむ親子と一緒に歌を歌う事が多い 「ゆっくりにこいをしてたころは〜♪」 「ゆゆゆ、ゆっくり〜できるとはおもってなかったよ〜♪」 「ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり〜♪」 こちらもとてもゆっくりした歌を歌った 「ドスたちはそろそろ冬ごもりをするね!れみりゃとふらんもゆっくりしてね!」 「ゆっくりしてくださいね!」 ドスまりさとさなえに見送られ三匹は飼い主の元へと帰る この群も冬ごもりを始め次にあえるのは春になるだろう 「ドスたちもゆっくりしてね!」 「はるになったらまたあそぶんだどぉ〜!」 プレゼントを配り終えた二匹は友達と別れ、とても幸せそうにして青年の元へと帰りました 終わり by お題の人 クリスマス仕様なので虐待成分を薄くしてます いや、決して思いつかなかったとか守矢家ゆっくりをケーキにしたくなかったとかそもそも中身何よとかじゃありませんよ?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2576.html
ある日の昼下がり、柔らかな日差しが心地よい里の広場を一人の青年が歩いていた。 太陽が人間にとって恵みであることを実感しながら腹ごなしに歩いていた彼の視界を大小の饅頭が横切る。 ゆっくりの親子だ。 彼はそれを見ても手を出したりなどしなかったが、その理由は満腹による幸福感以外にもある。 ゆっくりはバッヂを付けていたからだ。 先頭の親と思わしきれいむ種はぴかぴかのゴールドバッヂ、後に続く子供たちは渋い輝きのシルバーバッヂ。 大きさからするとシルバーバッヂの取得が難しいであろう年齢なのに所持しているという事はそれだけで目の前のれいむ種が優秀であることを思わせた。 とはいえこの里ではバッヂを付けたゆっくりなど大して珍しくも無いために彼はすぐに視線をはずす。 ──おや? 視線をはずそうとしたところで彼はれいむ種のリボンに付いた別のバッヂに気づいた。 少なくとも彼が見たことの無いバッヂだ。 跳ねながら去っていくれいむを彼が目を凝らしてよく見たところ、その見覚えの無いバッヂは4つも付いていた。 流石にゆっくりに聞くのもどうかと思った彼がそのバッヂの正体を考えるのを諦め、踵を返したところで今度はうーぱっくが視界に入った。 八百屋の親父が野菜をいくつか入れてやっている最中だった。 店主の笑顔からするとどうも配達料金と言うわけでもなさそうである事に気がついた彼は何事かと近づいてみる。 近づいたところでうーぱっくも先ほどのれいむ種と同じようなバッヂを今度は5つ付けている事に彼は気が付いた。 一体何なんだろうなと彼が考えているうちにうーぱっくは嬉しそうな声を上げながら飛び去ってしまったが、疑問をぶつける相手はまだ残っていた。 彼は八百屋の親父に聞いてみることにした。 「何なんですか?今の?」 「ン?ああ、兄ちゃん見たこと無いのか。アレはな、『お祝い』だよ。」 「お祝い?」 「そうだ。さっきのうーぱっくに同じバッヂが5つ付いてたのには気が付いたか?」 「ええ、まあ。」 「なら話は早い。あれはだな…」 店主をやっているだけあって親父の説明は要点をとらえた物であり、彼の疑問はこれで解消された。 その説明の内容は… 太陽が山脈の向こうに隠れ、薄明すら消え完全な闇が訪れたころ。 妖怪の活動時間であるというのに活発に動く人々が居た。 照明を落とされた薄暗い部屋の中で動き回る彼等の顔を長方形状の光る物体がぼんやりと照らす。 その中で一際大きい光る長方形の前に陣取った2人の男、そのうち片方が口を開く。 「今日は来ないんですかね?連中?後1時間で時間切れですよ。」 「だといいんだがな、連中はゆっくりとはいえ知恵が無いわけじゃあない。こちらが油断するときに来るかも知れん。」 「そりゃご勘弁願いたいですね。」 話しかけた方が肩をすくめる。 彼らはこの部屋に居る人々の中で比較的高位に存在するようだ。 最初に口を開いた彼がのどの渇きを覚えてポットからコーヒーを注ごうとした所で事態は起こった。 やかましい警報音、続いて電気的に処理を行われたことが伺える人の声。 陶器を何かに高速で激突させたような音がする。 『こちら北方警戒塔。接近する反応有り。方位0-1-5、高度150。』 通信音声が聞こえるとほぼ同時に一番大きいディスプレイの中央から上よりに赤い光点が灯った。 「UNKNOWN」という同じく赤い文字が添えられている。 「来ましたね。お陰でコーヒーが台無しですけど。」 「だが、連中は襲撃隊ではないだろう。畑を襲うつもりならば数が要るからな、もう少し大きな反応になる。」 「とはいえ、放っておく訳にも行かないと。」 「そうだ。 管制!いくつ出せるか!?」 この場の指揮権を持っていることが人目で見て取れる初老の男がコーヒーでズボンを台無しにしている部下に返答をおこない、続いて別の人物に大声で訊いた。 「一番近いのは広場北部の連中です!うーぱっくが12待機中!」 「よし、6あげろ。」 「了解、迎撃を発令します。」 管制と呼ばれた人物は彼の指揮官に直ちに返答、同時に慣れた手つきで受話器を取り、直通回線へ命令口調で声を掛けはじめた。 ───さて、今夜も防ぎきれるかな? 初老の男は己の白髪交じりの髪に手をやりつつ、ディスプレイを見上げながらそう思った。 けたたましい警報が鳴る部屋の中へ、一人の人物がせわしない様子で入ってきた。 早歩きで入ってきた彼は、その部屋の壁面に取り付けられたロッカーの様な棚へと向かう。 棚一つ一つの扉に取り付けられた番号札を確認すると、その中から奇数番号の物を選んで次々と開けていく。 防音効果のある扉が開かれたために、当然ながら棚の中にも警報装置の大合奏が入り込み、それにたまらず住人が飛び出してくる。 「うー!うー!」 出てきたのはうーぱっく。 睡眠中だったのか、飛び出した勢いそのままに反対側の壁へ激突する者もいたが、すぐにこの部屋唯一の人間の前に集まる。 彼は自分の前に集まった段ボール箱が開けた扉の数と揃っているかすばやく確認すると、壁面に取り付けられたスイッチ押し口を開く。 「よし、全員聞け。」 その言葉でうーだのいーだの騒がしかったうーぱっく達は黙りこくる。 ここでこうしなければどうなるか、それを知っているからだ。 警報が止まったこともあり、幻想郷の夜においてもっとも自然な静寂が訪れた。 「たった今、ここから北で畑への侵入を企てる悪いゆっくりが発見された。」 彼はそこでいったん言葉を切り、うーぱっくの表情を見回す。 いつでも笑顔というマヌケな顔ではあるが、これらと付き合いの長い彼はそこにうーぱっくなりの真剣さを見出す。 ───うん、これなら大丈夫だろう。 「君たちはこの連中を何とかしてもらう。装備積み込み後直ちに向かえ、いいな?」 「「うー!うー!」」 彼の言葉にうーぱっくは勢い良く返事。 急ぎの状況であるので、彼はすぐに扉へと向かい開け放つ。 と、同時にうーぱっくが次々と猛烈な勢いで突進、扉の外へと飛んでいく。 扉から飛び出すと同時に、その横に積まれた装備を器用に自分の体内へと入れていく。 先に飛び出したものたちは上空で旋回しつつ他の仲間を待っていたが、全員、すなわち6匹揃うと見事な雁行隊形を作り北へと飛び去った。 「広場北部よりうーぱっく6、上がりました。」 ディスプレイに緑の三角形が6つ灯る。全てディスプレイの上、つまり北を向いていた。 「これで、とりあえずは安心だな。」 初老の男は彼に割り当てられた指揮官用の席に座りつつ言った。 いつの間にか数が4つへと増えた赤い光点──接近により観測精度が上がったためだ──と6つの緑の光点が重なるまでに暫く時間がある。 彼の経験から言うと暫くは安心できる時間の筈だった。 再び警報音、続いて通信回線越しの音声。 『東方警戒塔より指揮所。緊急事態、当方の電探に大規模な感有り。方位0-9-1、高度100。』 ディスプレイ右端に赤色の光点が次々と灯っていく。 通信音声が途切れるか途切れないかのうちにディスプレイ右側が赤く塗りつぶされてしまった。 「まずいぞ、こりゃあ。」 白髪交じりの頭をかきながらそうこぼす指揮官。 が、セリフの内容とその態度は全く逆のものだった。 「噂の東の群れですかね、連中。」 いつの間にかズボンを交換してきた部下が言う。 「そこまではまだ分からん。死体なり捕虜なりを調べてみない事にはな。だが、その可能性は高いだろう。」 ディスプレイを見つめつつ返答する。 ───さて、どうする? 彼はディスプレイの一部を赤く染める元凶にどう対処するか考えていた。 頭の中に対処方法を次々と展開していく。 何か思いついたのか手元の操作ボタンを使い、指揮官用にメインの物とは別に取り付けられたディスプレイの表示を変える。 点線で形作られた円がいくつか現れる。 ディスプレイの範囲殆どを多い尽くす円が一つと、それの四分の一程の中央付近に固まる円が4つ。 前者は地対空ミサイル──幻想入りしたターター・システム──であり、後者は対空砲──同じく幻想入りした様々な対空砲──だった。 ターゲットとなる赤い光点は東に存在し、ここからそこまでの空間には草原と林以外何も存在しない。 すなわち全力で射撃が可能ということだ。 もし、妖怪だとか妖精の住む山や森があったならばそうは行かない。 流れ弾はもちろん、ターター・システムの電探が放つ電磁波ですら妖怪や妖精には不愉快な物だからだ(流石に死にはしないが)。 一度、ターター・システムの電探──怪しげな手段で入手されたイルミネーターだった──試験のとき、最大出力の電磁波をたまたま飛行していた烏天狗に照射して危うく電子レンジ状態にしかけたという事があったからだ。 不幸中の幸いか、電磁波を食らった烏天狗はかの有名な<文々。新聞>の記者兼カメラマンでは無く、もっとマイナーな技術系新聞の記者であった為にこの事件は比較的好意的に報道され、システム丸ごと破壊されるなどという憂き目にはあわなくて済んだ。 もっとも、体中から水蒸気を上げる烏天狗が「この機械について教えてくれ!」などと言いながら乗り込んできたときは生きた心地がしなかったそうだが。 ともかく、指揮官たる彼は命令を下す必要がある。 「付近のAAAは全て射撃体勢を取らせろ。ここのSAMもだ。」 「了解、射撃体勢取らせます。」 何人かが受話器をとり、よどみない口調で指令を伝えていく。 「MiGは出られないのか?」 一機だけの飛行機械の存在を思い出した彼は部下に確認を取らせる。 やや年かさのある部下が受話器を上げ、ボタンを押して直通回線を開き確認を取る。 通話はすぐに終了し、指揮官のほうを向いて口を開く。 「出られんそうです。エンジンの定期オーバーホール中だとかで。」 「分かった、ありがとう。出られないなら仕方ないな。他のを上げよう。付近で上げられるのは?」 別の部下が手元の入力機器を操作し、ディスプレイに現れた表示を確認する。 「東門にうーぱっくとまりさが各6、東部の畑でうーぱっくとちぇんが8待機中です。」 「よし、うーぱっく・ちぇんを4組残して全部あげろ。」 「了解、指令を出します。」 やはり淀みない動きで受話器をとり、指令を出していく管制。 しばらくすると、ディスプレイ上の中央やや右寄りに緑の光点が二集団現れた。 赤い塊の上と下から斜めに接触する進路を取っている。 距離の関係から、先に会敵したのは後から上がった連中だった。 闇の中を大量のうーぱっくが飛行している。 指揮官の予想とは違い、東の群れとは全く無関係なゆっくりたちであったが、人間の畑を襲撃するであろうという予想のほうはいささかの狂いもなく的中していた。 「「うー!うー!」」 「さむいよ! ゆっくりしたいよ!」 「もうすこしでつくからね、みんなでゆっくりしようね!」 断熱性に定評のあるダンボール製のうーぱっくボディとはいえ、それなりの速さで飛行しているために隙間風がゆっくりを襲っていた。 ガタガタとふるえ、歯をガチガチ鳴らしながらそれでも『しあわせー!』な未来を夢見て耐えるゆっくりたち。 しかし、その努力はついに報われることは無かった。 「「うー!?うー!?」」 先頭集団のうーぱっくたちが一斉に声を上げる。 人間にはうーぱっくの鳴き声の違いなど分からないが、乗り込んでいるゆっくりにはそれで十分だった。 「どうしたの? なにがみえるの?」 「ゆっくりおしえてね!」 うーぱっくの疑問の声にゆっくりたちも応える。 「うー!うー!」 うーぱっくのその「あっちを見ろ」という意図の鳴き声を聞いて、ゆっくりは吹きすさぶ冷たい風に耐えながら屋根──つまりうーぱっくの上部──を開けて周囲を見回す。 それを見たのは他のゆっくりの上に乗せてもらい、上を見上げたゆっくりまりさだった。 まりさの視界には箱が幾つかあった。 「ゆっ!みんな! あっちにもうーぱっくがいるよ!」 まりさが声を上げる。 それに気づいた他のゆっくりたちも上空へと体を向ける。 「ほんと!? れいむたちといっしょにいきたいのかな!?」 「ゆっくりあいさつしてみようね!」 「うーぱっく! あっちのうーぱっくにちかづいていってね!」 うーぱっくの方は何か嫌な予感がしたが、しかしクライアントの意向に逆らう事などできず仕方なく高度を上げていく。 「まずい!きづかれたのかだぜ! うーぱっく、いまからこうげきするんだぜ!」 「うー!うー!」 一方、目標の群れが上昇してくることに気づいた迎撃隊のリーダーまりさは焦っていた。 彼女たちの攻撃方法は十分な高度差を生かした物だったからだ。 「いくんだぜ!」 リーダーの乗るうーぱっくが右へ左へ交互に何回か傾斜し──バンクを振ると──、次に急角度で高度を下げていく。 他のまりさが乗る残り3つのうーぱっくもリーダーに一糸乱れぬ動きで付いていき、ちょうど四つ箱が急降下する形を取る。 途中で散開してそれぞれの獲物とする箱にうーぱっくの進路を変えると、次の瞬間リーダーが合図を出す。 「いまなんだぜ!」 うーぱっくが進路を急上昇の角度へと変え、同時に底部を開いてまりさたちを放り出す。 高速で空中へと躍り出たまりさたちは膨らんだり空気を吐き出したりしながら最後の微調整を行い、目標へとまっしぐら。 口を大きく開けてうーぱっくの翼ダンボールを食いちぎった。 目標集団をそのまま通り抜けると、いつのまにか下へと回っていたうーぱっくが待っており、まりさたちは無事に再搭乗できた。 リーダーが後ろを振り返ると、片方の翼を失って不安定になったうーぱっくが螺旋を描きながら落下していくのが見えた。 うーぱっくが突如急降下したと思ったら、そこから何かが落ち、あっというまに仲間の乗るうーぱっくが落下していくという目まぐるしい展開に、畑襲撃集団のリーダーであるれいむは混乱していた。 「むきゅ、いまのままではやられるわ。れいむ、みんなばらばらににげるのよ。」 れいむの副官たる同乗していたぱちゅりーが声を掛ける。 「う、うん、そうだね、ゆっくりできないね。」 「わかったらはやくしじをだすのよ。」 それでもれいむは混乱していたが、ぱちゅりーは構わず喋る。 「みんな゛ー!ゆ゛っく゛りしないでばらばらになってね!かたま゛ってるとやられち゛ゃうよ!」 あわてて声を張り上げたために所々ひどく濁ってしまったが、れいむは何とか散開指示を出すことができた。 近くにいるうーぱっくから順に進路を変え、四方八方へと飛んでいく。 れいむの声が届かない範囲に居る群れのうーぱっくも、前方の仲間が散開するのを見て自分たちも次々と右へ左へ散っていった。 「まりさはむりしないでやすんでるんだよー。」 続いて到着したちぇんたちが、その後再攻撃のために上昇していたまりさたちの横に並び声を掛ける。 「ゆっ!わかったんだぜ! まりさがこんらんさせるからちぇんがおとしていってね!」 「れんけいこうげきだねわかるよー。」 ちょっとした作戦会議をするまりさとちぇん。 作戦というほどの物でもないが、しかし話し合って役割分担するだけでもバラバラに攻撃するのとはだいぶ違う。 「さきにしたでまってるんだぜ! ゆっくりきてね!」 そういうとまりさたちは散開しかけた群れの真ん中へと再び急降下していった。 「ちぇんたちもいくよー。」 まりさたちが目標の群れに到達したのを見計らって、ちぇんたちも急降下する。 目標を定め、そこまで急降下していくのはまりさの攻撃方法と全く同じだったが、その後が違った。 うーぱっくが群れよりやや高い高度で再度の水平飛行に入ると同時に、ちぇんがその底面から飛び出した。 二本の尻尾をグルグルと回転させながら目標のうーぱっくへと後ろからゆっくり近づいていく。 目標の真上に占位すると、尻尾の回転をすぐさま停止しうーぱっくの中へと落下。 重力を利用して搭乗中のゆっくりを気絶させ、うーぱっくを乗っ取る。 「いうこときかないとあばれるよ、わかるねー?」 体内からうーぱっくを脅して言うことを聞くようにする。 底部を半分だけ開けさせ、気絶中の饅頭を地面への小旅行に強制参加させた後、べつのうーぱっくの上空へと移動させた。 ふたたび空中へ躍り出て、登場中のゆっくりを気絶させ落っことし、乗っ取る。 後はこの繰り返しだった。 ほかの仲間がハイジャック犯を撃退しようと近づいてきても、そのたびに絶妙なタイミングで急降下するまりさに邪魔されてしまう。 いつのまにか群れは2割のゆっくりとうーぱっくを失い、散り散りに飛ぶ烏合の衆へと変化していた。 ディスプレイ中の緑の三角は、まるで赤い集団を切り裂くはさみであるかのような働きをしていた。 緑色が縦横無尽に赤い集団の中を駆けた結果、赤の光点はひどく散開してしまっている。 相当の混乱振りが現場から遠く離れたここでも見て取れた。 「航空、敵集団はどれぐらいの距離だ?」 「あと5分でSAM射程内です。」 「よろしい、総員対空戦闘配置。対空火器使用自由。」 指揮官の指示を受けて各所で復唱が行われ、続いて火器の使用準備がなされる。 「総員対空戦闘配置、総員対空戦闘配置」 「対空砲弾、信管取り付け確認、装填良し、対空砲準備よろしい。」 「ターター誘導弾チェック完了、SAM準備よろしい。」 「防空システム異常なし、対空戦闘準備よろしい。」 彼は部下の働きに満足を覚えると、次に手元の受話器をとり備え付けられたボタンを操作する。 「こちら指揮所、まりさ聞こえるか?」 『ゆっ!きこえるんだぜおじさん!』 受話器の向こうから風交じりの声が届く。 「そろそろ連中から離れたほうがいいぞ、地面を歩いて帰るか。そこで待つか選べ。」 『ゆっ!じゃああるいてかえるんだぜ!』 「よし、何かあったら呼べ。」 まりさたちは特殊な訓練を受けたゆっくりでありそれなりに金が掛かっている為、誤射で失うのは惜しい。 ゆえに攻撃前に退避するよう指示を下した。 もっとも、指揮官たる彼は、ゲスのような口調であるのに中身はゆっくりとしてはかなり真面目な部類にはいるリーダーまりさを気に入っていた事もあり、死なせたくなかったというのもあった。 「敵集団、防空圏に入りました。」 「よし、打ち方はじめ!」 赤い光点がディスプレイのもっとも大きな円の内側に侵入を始めていた。 彼は部下のその報告を受け、直ちに攻撃を開始するよう伝える。 部下が受話器をとって一分もたたないうちにディスプレイ上に青い光点が現れた。 ディスプレイの中央辺りから数秒おきに光点が現れては右へと移動していく。 合計で3つとなったところで光点の発生は終わる。 強制的に幻想入りさせるだとか、日本政府に退役したDDGの物を秘密裏に無縁塚へ流してもらうだとか、とにかく怪しげな方法で揃えたイルミネーターが3つしかない為だ。 改修後のターターDシステムでSM-2スタンダードを利用するならば4倍程度、つまり12発撃てるのだが無い物は仕方が無かった。 大体、これでも大抵の非AEGIS・DDGより同時交戦能力は上なのだ。 ここ幻想郷でそれ以上を望むのは贅沢というものだろう。 ターターが目標と接触したのはそれから30秒後だった。 群れをズタズタに切り裂いていたまりさやちぇんが乗ったうーぱっくは何時の間にかどこかへ消えてしまっていた。 群れのゆっくりたちはその事に気づいてからやっと、畑への進撃を再開しており、今ではつい先ほどの惨劇など忘れたかのようにはしゃぎだす始末。 脅威がすぐそこまで迫っていることに気づいていない辺り、かつてファルクラムに撃墜されたゆっくりたちと全く同じ運命をたどっているが、もちろんそんなことにも気づいていない。 「みんな! ゆっくりあつまってね!」 群れのあるまりさが寂しさに駆られたのか、他の仲間を呼び寄せた。 怖い人間でもみんなで襲えば必ず勝てる、必ずお野菜を取り返せる。 そういう考えの元、仲間たちと一丸となって進撃する事にしたまりさはそれなりに頭が回る方なのだろう。 彼女の不幸は、かつて誘導兵器で撃墜されたうーぱっくの存在、それを知らなかった事から始まっている。 まりさは自身の視界に妙な物が見えることにふと気がついた。 人間であれば「皆既日食」のようであると判定しただろうそれ、つまり漆黒の円とそれを取り囲む光のリングは刻々と巨大化している。 ──なにかな?あれ。 まりさがその短い生涯の最後にそう思った直後、真正面からでは「皆既日食」のように見える、ターター・ミサイルが彼女の乗るうーぱっくとすれ違い、近接信管を作動させて起爆した。 密集状態のうーぱっく、その中央で起爆したターターの破片は4匹のうーぱっくを粉々に粉砕し、6匹を飛行不能状態に陥らせた。 散開したままならばうーぱっくの被害せいぜい2匹か3匹といった所だったが、まりさの提案で密集していたことが被害を拡大していた。 かつて同じような目にあって撃墜されたゆっくりは生還していない為、この事態はまりさの責任という訳ではないが、しかしそれは何の慰めにもならなかった。 残り2発のターターも次々に群れの中で起爆し、さらに11匹が粉砕され、17匹が飛行できなくなって落下していった。 当然だが中に乗っていたゆっくりの生存は絶望的である。 地上をのそのそと進むリーダーまりさの眼前で爆発が三回起きた。 最初の一回目でまりさとちぇん、それにうーぱっくたちは足を止め、上を見上げて「友軍」が「敵」を撃墜する様を眺めていた。 リーダーまりさの胸中の過半は敵が次々と落とされていく事による高揚感に支配されていたが、別のごく一部では一応同種の生き物であるゆっくりが殺戮される事に憤りと恐怖を感じていた。 自然で生きる事を諦め、人間と手を組んで生き残る事に成功した新世代のゆっくりであるリーダーにとっても、やはり人間は恐ろしいものだ。 まりさは下腹部に何か冷たい物を感じながら帰途についた。 「スプラッシュ・ダウン!全弾命中!」 ディスプレイ右側、中ほどのいくつかの赤い光点が、撃墜を示す二本の棒が交差した光点に変化する。 右側の集団を構成していた光点は半分ほどがこの光点に変化し停止しており、残りは互いに離れて動いていた。 第二波三発の光点が再び現れ、今度は上から下へ広がりつつ移動していく。 散開したターゲットを照準しているためだ。 「SAMに伝達、打ち方やめ。」 赤い光点は未だターターの迎撃範囲を抜けておらず、やろうと思えば第三波以降も放てるが、彼は指揮官として誘導弾をこれ以上射耗できないと判断した。 いかに推進機関と誘導装置の一部をお札だとかで構成したパチ物ターターとはいえ値が張るからだった。 ───後は対空砲で料理できるだろう。 そう思う彼の目の前では、ディスプレイ上の赤い光点が同じくディスプレイ上の中くらいの円へ接触していた。 れいむは迷っていた。 群れのリーダーたる母親れいむが目の前で爆死した為に散り散りバラバラに逃走した挙句、現在位置が分からなくなってしまったのだ。 れいむ自身は家族を連れて来ているため、リーダーの母とは別のうーぱっくに乗っていたのが幸いして現在まで生き残る事が出来たが、母を失った悲しみはそんな事では到底補いきれなかった。 「おかーちゃん! さむいよー!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 「ゆっくりしたいー!」 強引な回避機動により眠りから覚めたれいむの子供たちが不満を訴える。 おまけに防寒用に持ってきた藁を殆ど落としてしまい、寒さに震えている。 ───どこかでやすまないとこごえちゃうよ! そう思ったれいむだったが、この辺りの地理には詳しくない。 どこかにその辺り詳しい仲間がいないか、周囲を見回したれいむの判断は真に適切であったといえる。 右をみるれいむ。不気味なほど静まり返った草原が月明かりに照らされている。 背筋が寒くなったが構わず今度は左を見る。 判断できるか出来ないかギリギリの大きさのうーぱっくが見えた。 ───とりあえずちかづいて、きいてみようね! 何もしないよりは聞いてみるべきだと考えたれいむはうーぱっくに指示を出して進路を変えさせる。 ダンボールの床が左へ傾き、ガチガチ震えている子まりさがズリズリと滑っていく。 ゴロゴロと転がった子れいむが壁に当たって妙な声を上げ、餡子を吐き出す。 れいむは親としてその事に気づくべきだったが、自身も寒さで余裕がなくなっている為に気がつかない。 れいむ一家を乗せたうーぱっくはもう一つのうーぱっくへとまっしぐら、接近する二つのシルエットが夜空にぼんやりと浮かんでいた。 近づいたところでれいむはある事に気がついた。 視界の中でだいぶ大きくなったうーぱっく、その右半身に大きな穴が開いておりそこから何かがぶら下がっていた。 その垂れ下がっている植物の蔓のような物体、その先になにやら丸っこい物体が付属している。 「…!…だよ!」 「……ちゃ…よ!」 「……てね!」 うーぱっくの中にいる子ゆっくりが何かを叫んでいる。 蔓の先に子ゆっくりが必死にしがみついていた。 叫んでいるゆっくりたちはその子が落ちないよう必死に応援しているのだった。 蔓をそろそろと揺らさないように引き上げているのは親ゆっくりだろう。 「うーぱっく! あのこのしたにいそいでいってね!」 「うー!」 見捨てるという選択肢は初めから思いつかない。 リーダーの子だけありこのれいむもまたリーダーの素質にあふれているのだろう。 れいむは子ゆっくりが万が一落下しても受け止められるよう、うーぱっくに頼んだ。 その時、れいむの視界右側で何かがチカリと煌く。 ほぼ同時に目の前のうーぱっくが破裂した。 ゆっくりだった物がバラバラに弾けとび、れいむの乗るうーぱっくに当たって水っぽい音を立てる。 ぶら下がっていた子ゆっくりは爆発の勢いで地面へと高速移動、上空でも聞こえるほどの衝撃音を上げた。 これでは形が残っているかどうかも怪しいだろう。 爆発はさらに二度三度と三秒おきに発生し、それにより発生した煙でれいむとうーぱっくの視界は完全に閉ざされた。 目の前の惨劇に思考停止していたれいむは、次は自分の番だと直感的に気づくとうーぱっくに指示を出そうとした。 その瞬間、超音速で飛来した砲弾により、れいむも、うーぱっくも、凍えていた子ゆっくりも粉々に粉砕された。 時を少しさかのぼる。 東からやってきたゆっくりの集団に第一波のターターが到達しようとしていた時、広場から飛んでいったうーぱっくが北の集団と接触した。 南下する侵入者は3匹。 これに相対するうーぱっく6匹はその上空、後方からゆっくりと滑空して近づいていく。 先頭を行くうーぱっくがタイミングを見計らって己の底部を少し開放する。 うーぱっくの中に積み込まれた装備──といっても単なる石ころであるが──がボロボロと下へ落ちていく。 後続のうーぱっくも次々に底部を少しだけ開け、石ころの雨を降らせる。 雨の向かう先は当然、南下する“悪い”ゆっくりとうーぱっくだ。 うーぱっくの上面は多少の水なら物ともしないが、石が雨霰と降ってくるのではどうしようもない。 「ゆっ!なにかあたってるよ!」 自分の上のダンボールが鈍い音を立てて振動するのにまりさが気づいた。 最初の一個二個はうーぱっくの上面に防がれたが、代償として上面のダンボールが歪んでめくれあがる。 ボゴッっとダンボールに穴を開けて飛び込んできた石がまりさに当たる。 衝撃でまりさは少し変形したが、すぐに持ち前の弾力で元に戻る。 「ゆっ? ぜんぜんいたくないよ!」 三個目以降は防御力の低下したダンボールを貫いたが、その時点で運動エネルギーを殆ど失い搭乗ゆっくりにまでダメージを及ぼさなかった。 石は次々に飛び込んできてはまりさに命中する。 最初はなんとも思ってなかったまりさだったが、そのうち痣が増えていき出餡も見られはじめた。 石が当たるたびにまりさの体が激しくへこみ、傷に黒っぽい液体がにじむ。 「ゆ゛っ! いた゛いよ!ゆっく゛りし゛た゛いよ!」 当たる石が増えていくうちにダンボールの穴が増加していき、ついには開いた穴を通過して直接搭乗ゆっくりに命中する石が出るようになった。 石の雨を浴びたうーぱっくはあっという間に上から下まで貫通する大穴を作られスッキリとした姿になって落ちていった。 ディスプレイには大量の赤いバツ印が表示されていた。 侵入者が全て撃退された事を表している。 指揮所の扉が開き、ゆっくりが数匹入ってきた。 「ただいまもどったんだぜ!」 そのまりさの大きな声に、人間たちが一斉に振り向く。 「ご苦労、それでは戦果確認をしようか。」 顔だけ向けた初老の男は落ち着いた様子で入ってきたゆっくりを呼び寄せる。 ゆっくりはのそのそと移動して、彼の前に整列した。 「では、戦果発表だ。今回は目標も多かったからね、皆よく頑張った。まず、一番多いのは…」 整列したゆっくりがゴクリと唾を飲む。 「ちぇん02だ、おめでとう。撃墜4匹だ。」 「ほんと!やったよー!」 呼ばれたちぇんは飛び跳ねて喜んだ。 ゆっくりとまわりの人間が今回の主役を祝福する。 一気に騒がしくなるが、まだ発表は残っていることに気づき、すぐに静まる。 「では次だ。二番目は…」 「以上だ。では撃墜数に応じたバッヂを受け取りなさい。」 彼はデスクの引き出しを開け、同じデザインのバッヂを数十個取り出した。 名前、というか種族と番号を組み合わせた個体識別呼称でゆっくりを呼び、バッヂを何個かつけてやる。 その場のゆっくり全ての飾り(うーぱっくは外皮に直接だが)に新たなバッヂが取り付けられた。 廊下をまりさとちぇんが跳ねながら移動していた。 「こんかいはおめでとうなんだぜ! よっつもおとすなんてすごいんだぜ!」 「ありがとうだよー。 でもまりさもすごいよー。」 まりさの方はリーダーまりさであり、ちぇんは今回最も活躍したちぇんだった。 「まりさはこれで10こめなんだよー。 すごいよー。」 ちぇんの言うとおり、まりさの帽子には茶色い箱を象ったバッヂが10個付いている。 「まりさはなんかいもたたかってるからなんだぜ!」 「がんばりやさんなんだねわかるよー。」 まりさが言うには、一回の出撃でいつも一匹ぐらいしか落とせていない。 自分は出撃回数が多いだけでちぇんの方が凄いという事だった。 「どっちもすごいよ!」 「うー!うー!」 後ろのまりさとうーぱっくにとっては、どちらも別次元の話だ。 「おっ、おじさんが『しゅくしょうかい』してくれるからはやくいくんだぜ!」 リーダーまりさは自分がほめられるのが恥ずかしいのかそんな事を言って駆けていく。 他のゆっくりもあわてて追いかけていき、廊下の角に消えた。 「ところで、SAMが20匹、AAAが17匹墜としてるんですがそっちには何もないんですか?」 結局、コーヒーをこぼしたズボンを取り替えただけの部下が聞く。 「人間がゆっくりを墜としただけで貰える訳無いだろ…常識的に考えて…。」 初老の指揮官はあきれた顔で答えた。 「ですよねー」 __Das Ende__ バッジシステムと聞くとBADGE Systemにしか思えないから困る。 今回書いたのは全然違う物にしかできなかったけどね。 by sdkfz251 今回のターター・システムについて 存在が予言されるドス級うーぱっくの襲撃に備え調達された。 ベースとなったのは幻想入りしてきたチャールズ・F・アダムズ級DDG(艦番号不明)の装備一式。 そこに謎の方法で日本政府に横流ししてもらった<あまつかぜ>のイルミネータを強引に追加したという想定。 本当なら速攻で消えた=幻想入りしてそうなテリアとかタロスにすべきなんだろうけど流石にデカすぎてダメだろうと。 で、ターター・システムにしました どうでもいい話だNE! 業務連絡 ドロワの出演許可ってここでやって良いのだろうか。 是非ネタにしてやって下さい。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
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対戦型ゆっくりゲーム by 十京院 典明 対戦型ゆっくりゲームというのを買ってきた。最近流行っているらしい。 「おーい、れいむー」 俺は家飼いのれいむを部屋に呼びつけ、PCを起動する。 やがてぺたんぺたんと階段を上る音がして、れいむが俺の部屋のドアを開ける。 「ゆゆっおにーさんゆっくりしていってね!」 「あーはいはいゆっくりゆっくり。ゲーム買ってきたんだが、やるだろ?」 「げーむさん!れいむげーむさんするよ!」 このれいむには時々ゲームの相手をさせているので、ゲームパッドぐらいなら操ることができる。 ピコリーン \ゆっくりしていってね/ 「ゆゆ!ぱそこんさんのなかにもれいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」 * * * * 俺はキャラセレ画面で固まった。 「……」 画面には10匹のゆっくりが馬鹿面を晒している。それはいいのだが、 左上から、れいむ、れいむ、れいむ、まりさ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、れみりゃ(胴なし)、れみりゃ(胴あり)。 「おにーさんどうしたの?」 「……れいむ三匹とまりさ二匹の見分けが付かないんだけど」 「ゆゆ!こんなのもわからないなんておにーさんはばかだね! れいむとれいむとれいむとまりさとまりさだよ!」 「仕方ない、マニュアルでも見るか」 俺はマニュアルを広げた。 = = = = マニュアル お買い上げいただきありがとうございます。 本ゲームは、従来の対戦型格闘ゲームとはびみょんに異なったシステムを採用した新感覚ゆっくりゲームです。 勝利条件は自キャラのゆっくりゲージを100%まで溜めることか相手のゆっくりゲージを-100%まで下げることです。 基本動作 A=隙の少ない、ゆっくりする行動をします。 B=隙の少ない、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 C=効果の大きい、ゆっくりする行動をします。 D=効果の大きい、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 ←←=バックステップです。後ろにゆっくり跳ねます。 →→=ダッシュです。前にゆっくり急ぎます。 (コマンド)=さまざまな効果を持つゆっくりむーぶを発動します。いわゆる必殺技です。 特殊なルールを紹介します。 通常種ルール 通常種のゲージは自動で微量ずつ99%まで増加します。 通常種には当たり判定が無く、各種通常技およびゆっくりむーぶ中のみ当たり判定が発生します。 従来の格闘ゲームのように相手を攻め殺すよりは、自キャラをゆっくりさせつつ、 相手をゆっくりさせない戦い方が基本です。 うーぱっく 試合中、うーぱっくが通りかかり様々なアイテムを投下することがあります。 プリンやキノコ、干し草といったゆっくりゲージ増加アイテムから玄翁、ガラス箱といった危険なブツまで種類はさまざま。 なお、ゲームの性質上ゆっくりのリアルスペックとの乖離が見られる場合があります。 あらかじめご了承ください。 キャラ紹介 およびゆっくりむーぶコマンド表 れいむ(れいむA) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりはねるよ! ←→←B or D ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C 『ゆっくりしていってね!』は全ゆっくり中最高のゲージ溜め性能があり、とくにC版は高効率。 移動の遅いれいむ(れいむC)やれみりゃざうるすと距離が離れたなら、 『ゆっくりはねるよ!』→『ゆっくりしていってね!』でゆっくりゲージを溜め切ってしまうこともあるほど。 『ゆっくりはねるよ!』は移動技。Bは後ろ、Dは前へと移動する。れみりゃ(胴無し)から逃げるほど速くはない。 うーぱっくからのアイテム回収や、ゆっくりしていってね!の布石に。 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!』は、わずかながら無敵判定の存在する攻撃技。ダメージもなかなかで、ゲージ上昇有り。 攻撃重視型のみょん、れみりゃ(胴無し)などへの切り返しやカウンターを狙おう。 れいむ(れいむB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆ~♪ゆ~♪ ←/↓\→A or C ゆゆ~♪ 相手の近くで↑\←↓\→B or D 歌の上手なれいむ。『ゆっくりしていってね!』はれいむAの同技に比べてゲージ上昇が少ないものの、二種類の歌技がそれを補う。 『ゆ~♪ゆ~♪』Aは低く、Cは高く飛ぶ飛び道具で、相手に当たると動きを止める。画面端に消える際にもゲージ上昇有り。 『ゆゆ~♪』はいわゆる一回転投げ。歌で相手の動きを止め、相手をゆっくりさせる(わずかに相手のゲージも上昇)とともに 自らのゲージを大幅に上昇させる大技。当たり判定のない状態の通常種をも吸い込むため、常に近接状態で立ち回り 相手をゆっくりさせないことが重要。 れいむ(れいむC) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりうまれるよ! ↓溜め↓ おちびちゃんゆっくりしていってね! ←/↓\→B or D ゆっきゅちちていってにぇ! →←↑ B or D 植物型にんっしん中のれいむ。移動が遅く、特定のキャラには大幅不利ながらもスペックは低くない。 おちびちゃんゲージ(初期値1)の数だけ使える『ゆっくりうまれるよ!』でおちびちゃんを増やしながらゆっくりしよう。 おちびちゃん4匹以上の『ゆっくりしていってね!』には攻撃判定が付属する。 『おちびちゃんゆっくりしていってね!』は赤ゆゲージを溜める技。隙が少ないので暇を見てゲージを補充せよ。 『ゆっきゅちちていってにぇ!』は『ゆっくりしていってね!』の硬直を減少させる専用技。 攻撃判定のあるゆっくりむーぶも移動技も持たないため、攻められると脆く距離を離されても相手に一方的にゆっくりされ終了、 という危険性をも孕む(にんっしん中だけに)テクキャラ。通常技での立ち回りと間合い取りを研究しよう。 まりさ(まりさA) ゆっくりしていってね! A or C連打 むーしゃ、むーしゃ、しあわせー! →\↓/← B or D ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C れいむと同じスタンダードタイプのゆっくり。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!』はうーぱっくから食べ物ゲット時にのみ 使えるゲージ大幅上昇技。移動速度が速く食べ物をゲットしやすいため、狙いどころは多い。 まりさ(まりさB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりしていってね! ↓\→A or C ゆっくりはねるよ! ←→←B or D まりさAよりもさらに移動速度が速いスピード特化型ゆっくり。 二種類の『ゆっくりしていってね!』を持ち、コマンド版は飛び道具。 ワギャ〇イザー、あるいはエコ〇ズAct2風の書き文字が攻撃判定を伴って飛ぶ。発生、速度にすぐれるD版は 相手のゆっくりむーぶを阻止するのに適する。 ありす ゆっくりしていってね! A or C連打 しゃんはーい →↓\A or C ほーらい ←↓/A or C 『しゃんはーい』はカチューシャから人形を生み出し前方に配置。相手を押し返す効果がある。最大8つまで配置可能。 『ほーらい』は高速で跳ねる飛び道具。6/1とらんぷる。 通常種の近くにいるとゲージの自動上昇率が高まるキャラ特性を持つ。しかし近接不得手のシューティングキャラ…… おお、つんでれつんでれ。 ちぇん わかるよー A or C連打 わからないよー 被ダメージ中に←→↓\B or D らんしゃまぁぁぁぁぁ!! ←/↓\→B or D 『わかるよー』はその場でゆっくりする、ゆっくりしていってねタイプのゲージ上昇技。 上昇率は低いものの、ゆっくりしていってねに比べ当たり判定が小さいため特定の飛び道具をかわしつつゆっくりし続けられる。 『わからないよー』は被ダメージモーションをキャンセルして高速離脱する。 『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』はゆっくりらんを召喚。らん存在時は通常技が変化しゲージ上昇率が上がったり性能が変化したりする。 長いコンボをことごとく封殺する『わからないよー』は伝家の宝刀。 しかしながら自身のゲージ溜め能力も高くは無いため過信は禁物。 硬直の大きい『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』を余裕を持って発動する位置取りが重要。 みょん ゆっくりしていってみょん! A or C連打 ちーんぽ! ↓溜め↑A or C でぃーっく! ↓溜め↑B or D 『ちーんぽ!』は黒くてたくましいもの(餡子製の刀)で相手を突き上げる攻撃判定技。ヒット時は黒くてたくましいもので さらに相手を突き上げる追加攻撃が2回まで出せる。 『でぃーっく!』は黒くてたくましいものを振り回す攻撃判定技。当たり判定も大きいので被カウンター注意。 通常技も主に、黒くてたくましいもので行う。 れみりゃ(胴無し) うーうー! A or C連打 たーべちゃーうぞー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ぐんぐにる ↓\→B or D 『たーべちゃーうぞー!』は相手ゆっくりゲージの80%を消し去る大ダメージ技で、当たり判定のない 状態の通常種も捕まえられるが、間合いが狭く発生も遅い。確定状況を作れるかどうかが勝負の分かれ目。 『ぐんぐにる』は槍状の飛び道具。 通常技も弾幕攻撃なので、なぶり殺しと一撃必殺の二段構えで相手をゆっくりさせないよう飛び回れ。 れみりゃ(胴有り) うー! A or C連打 うっうー! ↓\→A or C うあうあ♪ ←→←B or D れみりあうー☆ ←/↓\→A or C たーべちゃーうどー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ざうるす進化 ↓溜め↓ 捕食種ながら、こちらはゲージ上昇重視タイプのゆっくり。 『うっうー!』、『うあうあ♪』、『れみりあうー☆』は連続入力可能。『うあうあ♪』と『れみりあうー☆』には 攻撃判定があり、ゲージを溜めつつ攻撃できる。 『たーべちゃーうどー!』は『たーべちゃーうぞー!』と代わり映えの無い性能だが、各種ゆっくりむーぶでゲージを溜めつつ、 100%阻止に近づいてきた相手に狙えないこともない。 『ざうるす進化』は、文字通りれみりゃざうるすになる。ざうるす時はゲージ上昇速度が飛躍的に上昇するが移動速度が激減。 対れいむCなどに。同一コマンドで元に戻ることもできる。 = = = = 「なるほどねー。 ……それにしてもれいむまりさの顔の違いがわからん……」 れいむはれいむAを、俺はれみりゃ(胴無し)を選んでゲーム開始。 「どぼじででびりゃえらぶのぉぉぉぉぉぉ!!!???」 「このお兄さん、たとえ貴様がゆっくりといえども容赦せん。 それにもともと、ペットショップ使いなもんでね」 * * * * かくしてゲームスタート。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪!」 「ゆゆゆ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕からゆっくりしていってね連呼のれいむ。 ……ああなるほど。 ゆっくりや⑨でもプレイできるように全キャラ連打コマンド持ってるわけね。 「ってやべえ!」 予想以上にゲージの上昇が速い。慌てて弾幕攻撃をするが、すでにれいむのゲージはかなり溜まっている。 少しずつゲージを削るが、通常種ルールの当たり判定消滅とゲージ自動上昇によって開いた差はなかなか縮まらない。 「ゆっぐりじでいっでねっでいっでるでじょぉぉぉどぼじでゆっぐりじないのぉぉぉぉ!!!」 俺は一向に当たる気配のない弾幕攻撃を諦め、れみりゃ持ち前の素早い飛行でれいむに近づく。 「てめーこそ喰らって死ねぇぇぇぇぇぇ!!!『たーべちゃーうぞー!』」 「『ゆっくりはねるよ!』」 すかり。 起死回生の一発は(たぶん暴発した)移動技にかわされ―― 「っ―――!?」 \うぃなー いず れいむ/ 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺は、ゆっくりに負けた男となった。 * * * * 俺はこのゲームを舐めていた。それは認めよう。 俺はれいむの餌を七日分用意して、俺自身の身支度を整えた。 玄関に出た俺をれいむが呼び止める。 「ゆゆゆ!おにーさんどこいくの!?」 「旅に出る。 一週間後に、貴様との再戦を申し込む。それまでこの家には帰らん」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉ!!??おにーさんならとくべつにゆっくりしていっていいよぉぉぉ!?」 「もともと俺の家なんだが。 まあそれはいい。PCは置いていくから、せいぜい腕を……腕はないか。 せいぜいあんよを磨いておけ」 「いやだよ!!おにーざんといっじょにいだいよぉぉぉぉ!!!」 「俺も一週間後にもっと強くなって帰って来る。その時まで首を……首はないか。 あんよを洗って待っていろ」 「ゆゆぅぅぅーーーん!!」 * * * * それから、格ゲー仲間の友人に電話をかけ、メシを作ってやるかわりに一週間の格ゲー強化合宿を取り付けた。 言うまでもないが、飼いれいむに対戦で負けた話をしたらたっぷり三十分ほど笑われた。 こうして、友人との対戦に明け暮れる日々が幕を開けた。 「これぶっちゃけ、無しれみ弱いぞ……詰んでるマッチアップが多すぎる」 友人の指摘はもっともだった。 当初は気にも留めていなかった通常種ルールが、実は馬鹿にならない強さで設定されている。 あの日の初プレイでれいむが見せた、れいむAの高火力な開幕『ゆっくりしていってね!』が ゲームエンドに直結するほどにだ。一度奪われたリードはそうそう奪い返せない。 「うーむ……」 「胴れみはどうよ。俺も使ってないけど」 「そういや試してなかったな」 俺はれみりゃ(胴有り)を選び、友人はれいむA。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪ぃ……」 「やっぱそう思うよな」 「うっうー!」 「うあうあ♪」 「れみりあうー☆」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕『ゆっくりしていってね!に対して、『うあうあ♪』の先端に発生する攻撃判定がぎりぎり届かない。 単発の『うあうあ♪』も試したが、そもそもリーチが短く届かない。 そしてやはり逃げ切られる。 「なぁ……れいむAって強キャラじゃね?」 「まごうことなき強キャラだな……むしろ厨キャラまであるな。んで捕食種弱い」 「このサークル、れみりゃになんか恨みでもあるのか……?」 「マイルド調整の結果じゃねーの……それにしてもれみりゃ弱い」 「だけどさぁ、れいむA使う気ないんだろ?お前の性格からして」 「わかってんじゃねーか」 下手の横好きといわれても、俺は勝つためにキャラ換えしたことは一度も無い。 それは誇れることなんかじゃなく、くだらないこだわりに過ぎないのだがどうしてかキャラ換えできない。 それはきっと、俺そのものと強く癒着してしまっているのだ。 たとえば、ゆっくりがゆっくりを求めずにはいられないのと同じようにそれは当たり前のことなのだ。 「……次、行こうか」 「ああ」 俺はれみりゃを選び、再び対戦を始めた―― そして、またたく間に一週間が過ぎる。 俺は友人に礼を言って、帰途に就く。 「じゃあ、行ってくるぜ」 「頑張れよ」 * * * * 「ゆゆゆ!おにーさんまってたよ!ゆっくりしていってね!」 「だから俺の家だと言うに…… まあいい、勝負だ!れいむ!」 「ゆふふ……れいむはかなりあんよをあげたよ。せいぜいゆっくりしていってね」 「あんよ……?ああ、腕を上げたって事な。 俺だってそうさ。一週間前までのみじめな俺には二度と戻らない」 れいむはれいむA、俺はれみりゃ(胴付き)を選んだ。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 0.60- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは開幕ゆっくりしていってねを放つ。単純だが効果的な戦法だ。対して俺も手を打つ。 ボワン 「ゆゆ?」 ざうるす進化だ。これにより、俺のれみりゃはれいむに負けないゲージ上昇率を得る。 友人との合宿で、れいむAの火力に対抗するべく俺が考え出した、たった一つのソリューション―― 俺達は発想を転換しなければならなかった。 相手を倒すことより、自分がゆっくりすること。 それがこのゲームシステムにおいて、もっとも効率よく勝利条件を満たす手段なのだ。 格闘ゲームの常識に捕らわれていた俺と友人が、使えない技として無意識に除外していたざうるす進化。 それこそが勝利への鍵だったのだ。 4.42- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……」 「うーうー!ぎゃおー!うっうー!」 Cゆっくりしていってねの連打よりも、ざうるすれみりゃと化したれみりゃの技の方がわずかにゲージ上昇率が高い。 その微細な積み重なりは、やがて目に見える値となってゲージに表れる。現在れいむ57%、れみりゃ65%だ。 5.21- 「ゆゆっれみりゃはゆっくりしないでね!ゆっくりするのはれいむだよ!」 ついにれいむが痺れを切らせた。 「『ゆっくりはねるよ!』」 ――予想通りだ。 「『うーうー!もとにもどるどぉ~』」 ボワン こちらへ素早く跳ねてくるれいむのモーションに辛うじて反応し、れみりゃを通常形態へと戻すことに成功する。 ジャンプからのぼでぃぷれすをガードし、続く通常技を頭を抱えてやり過ごす。 「ぷんぷん!もうおこったよ! 『ここはれいむの……」 微妙な状況だ。 ――発生前に潰せるか(↓Aでカウンターを狙える) ――ガード(削られる/ゲージ2%減) ――喰らえば仕切り直し(ゲージ増減れいむ+7%れみりゃ-5%/それより距離が離れるのはまずい/Cゆっくりしていってねで死ぬ) 「……ゆっくりぷれいすだよ!』」 読み違えれば ――潰せる(無理だ) 負ける。 高速で流れる思考とは裏腹に、反射的に指が動いていた。 「――っ!」 俺の親指はAボタンを外してパッドを掴み、れいむのふくれっ面攻撃をガードする。 ――まだ行ける(ゲージはまだリード/進化or↓AB踊りコンボor投げ) 7.33- れいむが小さく一歩退がった。一瞬間が空く。 「うー!うー!」 それは俺のれみりゃのボイスではない。 画面の左上部から飛来する小さな影。その位置はれみりゃよりれいむに近い―― 「うーぱっく!れいむにあまあまちょうだいね!」 その瞬間、なにもかもがスローモーションに見えた。 俺は指を滑らせ←Cを繰り出す。 ←Cは攻撃判定は無く、前方に踏み出しながらゲージを溜める踊り技だ。 もしもれいむが攻撃を繰り出したらカウンターとなってしまう。 しかし俺には確信があった。 ――次に貴様は『ゆっくりはねるよ』と言う れいむは一生懸命にあんよで十字キーを操作している。 間違いない。れいむにとっては複雑な技コマンドを出すために、常時よりも丁寧にあんよを動かしている。 「『ゆっくり……」 ――逃がさん(投げ)(投げ)(投げ) すでに←Cの硬直を利用しコマンドは完成している。 「……はねるよ!』」 ――ここからなら ←Cで踏み出したこの位置からなら、ぎりぎり届く。 しゅばっ 「うー!」 れみりゃの手が伸びて、今まさに後方へと移動しようとしたれいむを捉える。 「ゆゆぅぅぅぅぅーーー!!??」 「つかまえたどぉ~。『たーべちゃーうどぉー!』」 画面がブラックアウトし、れいむの絶叫が響き渡った。 * * * * \うぃなー いず れみりゃー/ 「うっうー!」 「ゆゆん……さすがはおにーさんだよ!」 「いやーれいむこそなかなかだったぞ。レバガチャかと思ったら意外にコマンド正確だったしな」 だからこそキャラ差を読みでカバーすることができたわけでもあるのだが。 「もういっかい!もういっかいだよ!」 「よーし、やろうか」 俺は快く承諾する。 「さぁーて、”リベンジも果たしたことだし”俺もれいむA使っちゃおうかな~」 俺は勝つためにキャラ換えはしないが、その他の理由でキャラ換えすることは結構あるのだ。 「ゆゆっ!まけないよ!れいむがいちばんうまくれいむをつかえるんだよ!」 「俺だって負けないぞー。何せ、六日間もゆっくり練習してきたからな」 俺はこの時のために練習してきたれいむAで、れいむを完膚なきまでに叩きのめした。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりはねる(キャンセル)ぷくー! ゆっくりしていってね!ぷくー!ここはれいむのゆっくりぷれ(キャンセル)ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ(キャンセル)ばかなの?ゆっくりしていってね!ばかなの?しぬの? ゆっくりしていってね!ばかなの?ばかなの?ばかなの?しぬの?ゆっくりしていってね!」 「ゆあああああああ!!!!!おにーざんばっがりずるいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!! でいぶもゆっぐじじだい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 俺は軽快にコンボを継続し、れいむを空中に浮かせ続けながら言ってやった。 「おそらをとんでるみたいだろ?れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!」 END ■ □ ■ □ ちなみにこの二ヶ月後、れいむA、れいむC、ちぇん、みょんに10割コンボが発見され―― 世界は、核の炎に包まれた。
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幸せなおちびちゃんが出てきて、最後までゆっくりできてます。 夢を見続けるゆっくりが出てきて、最後までゆっくりできてます。 虐待分少ないので脳内保管推奨の上にオチが読めまくります。 夢見るれいむ れいむには夢があった。 群れで一番でなくてもいい、ごく普通に、ごくありふれたゆっくりとして、幸せにゆっく りしたいと言う夢があった。 幼なじみのまりさと一緒に。とてもゆっくり出来るゆっくりで、黒くて大きいお帽子がと ってもすてきで、いつも自分のことを大事にしてくれるまりさ。原っぱをかけまわって、一 緒にむーしゃむーしゃして、すーりすーりして、一緒にゆっくりして。 まりさの作ったとてもゆっくり出来るおうちでふぁーすとちゅっちゅ。 夜になったら、ろまんてっくな闇の中で……。 秋の実りを蓄えて、冬の訪れを待つばかりの巣の中で、どんな子供達に育って欲しいか、 一緒に語らうのだ。 まりさとの可愛い赤ちゃんが産まれ、それはそれはゆっくりできるすばらしい赤ちゃん で。頭の上で、茎に繋がって次第に大きく成長していくおちびちゃんを、まりさはきっと 微笑ましく眺めるに違いない。だから、「とってもゆっくりしたおちびちゃん達だね」と 言って、ゆっくりとしよう。生まれる時も、とってもやんちゃで、少し危なっかしいのだ けれど、それでも一生懸命生きようと、生まれようとする大切な命を、まりさは優しく受 けとめて上げるのだ。初めて「ゆっきゅりしていってにぇ!」と言われたら、まりさと一 緒に「ゆっくりしていってね!」と言ってあげたい。すーりすーりしてあげて、くすぐっ たいと身をよじる赤ちゃんをぺーろぺーろしてあげたい。お腹がすいたと泣き出したら、 茎を柔らかくして食べさせてあげる。 そして「しあわしぇー!」と生きる喜びにうちふるえる赤ちゃんを、まりさは微笑まし く眺めるだろう。そんなまりさに、愛おしい思いを込めて、すーりすーりしたい。ゆっく りが生きていくには楽しい事ばかりじゃないけれど、辛い事しかないけれど、でもだから こそ、幸せを感じるゆっくりに育って欲しい。 春になれば、まりさは狩りに出かけることが多くなる。おちびちゃんたちはきっと、悲 しくて泣き出してしまうだろう。でもまりさが沢山ごちそうを持って帰れば、みな尊敬の 目を向けるはずだ。可愛いおちびちゃん達。 まりさは狩がおじょうずだけど、獲物が捕れない日もあるだろう。そんな時、まりさを 慰めてあげられる優しい子に育って欲しい。気落ちしているまりさの隣で、家族そろって すーりすーりすれば、些細な悩みなんて吹き飛んでしまうだろう。 ある木漏れ日の差す暖かい日に、一番上のおちびちゃんが、ゆっくり飛び跳ねることが 出来るようになるのだろう。まりさと一緒に微笑みながら、「すごくゆっくりできるね!」 と褒めて上げたい。他の妹たちも、みんな飛び跳ねようとして、うまく出来ないかもしれ ないけれど、それでもみなが自慢のおちびちゃんだ。その日はみんなでひときわ高い声で、 「ゆっくりしていってね!」とお休みを言おう。 食べられる虫さんやお花さんの見分け方を教える時、恐いれみりゃやれいぱーの話をす る時、みんな一生懸命にお勉強をするに違いない。きっとみんなとてもゆっくり出来るゆ っくりになるよ、と、子供が寝静まった後まりさに報告しよう。きっとまりさははにかみ ながら、「だってまりさとれいむのじまんのおちびちゃんだからね!」と、静かにすーり すーりしてくれるのだ。 暖かさが増してきたら、みんなで広場に出かけよう。同じ幼なじみのぱちゅりーやあり す達が、沢山の家族が思い思いにゆっくりしているだろう。彼女の子供達も、きっと凄く ゆっくりしているのだろう。そうして子供達は、姉妹の他に遊び相手を見つけるのだ。 中には、かけがえのない相手を見つける子もいるだろう。れいむとまりさのように。 お日様の下で、ちょうちょさんを追って、あるいはかくれんぼをして、一生懸命遊んだ ら、それもとてもゆっくり出来る為のお勉強だ。はしゃぎすぎて冒険に出てしまい、大人 達が探し回る事になるかもしれない。日が暮れるまで探し回って、ようやく川のほとりで ゆんゆん泣いている子を、叱るでなしにすーりすーりしてやろう。そしてそれはお姉さん のまりさで、その日に仲良くなったれいむなのだろう。少しくらいやんちゃなほうが、き っと小さい頃のまりさに似ているのだ。 おうちに帰って、まりさにそのことを話すと、やっぱり照れてしまうのだろう。そして まりさとれいむが出会った、一番大切な思い出を、我が子のせがむままに話してやるのだ。 子供達は目を輝かせて、まりさは顔を真っ赤にして、それでもとてもゆっくりした夜が過 ごせるのだろう。 だんだん暑くなってきて、食べるものがいっぱいに増えたら、おちびちゃんをつれて狩 りの練習。初めて本格的な狩りをするのだから、さすがの子供達も緊張気味なのだ。むし さんはいるかな。ちょうちょさんは待っていてくれるかな。 お姉さんが「まりさはきのこさんを取るよ!」と言うと、妹のれいむは「じゃあね、じ ゃあれいむはちょうちょさん!」と、みんなで目標を言い合うのだ。 ……ぇ、ぃ…… 森の中で、むしさんの声がすごいひびく。 まりさの狩りの特訓は少し厳しくて、でも一生懸命な子供達は少しづつだけれどもコツ を覚え始める。妹のれいむは日が傾くまでちょうちょさんを追い続けて、みんなが諦めよ うと言いかけたその時、姉のまりさがぱっくりと取ってやるのだ。にっこりと微笑んで妹 にちょうちょさんを渡す姉のまりさは、妹達から尊敬の眼差しを受けて、照れてしまうに 違いない。 本人は、夕日さんが赤いだけだよと言い張るのだけれど、そんな姉まりさに、まりさは 力強くすーりすーりをして上げるのだ。 ……ぉぉ、……ねぇぇ…… 夜は風が強くなる。 入り口が飛ばないように注意しなければならない。れみりゃやれいぱーに襲われてしま うからだ。けれどまりさは自信満々に、「とても丈夫に作ったからだいじょうぶだよ! どんなゆっくりだって入ってこれないように、わなさんだって作ったからね!」と言って いたので、何も心配いらない。 とは言え、将来子供達が住まうおうちがそこまで丈夫であるとは限らないので、出来う る限りのことを教えてやるのだ。恐い話を聞かされて、ゆっくり眠れなくなった子供達は、 きっと泣きながら、自分たちに寄り添ってくるだろう。すーりすーりしあっているうちに、 子供達は夢の中へと旅立つことになるだろう。気持ちよすぎて、自分でもうつらうつらと してしまい、まりさは呆れながらも、ゆっくりお休みと言ってくれるのだ。 明かりと言えばお月さまの青白い光だけで、星さんはあまり出ていない夜で、それは開 け放たれた入り口からよく見えて、獣のような顔をしたありすとれみりゃが入り込んでき たのだ。そして、ああこれは夢だなと思って、先ほど子供達に恐い話を聞かせたから、自 分で夢を見てしまったのだと苦笑しつつ、だってまりさが自信満々で仕掛けた罠が破られ るはずもないのだから。だずげででいぶううううとまりさは叫んでいるけど、なにかぬち ょぬちょするものに絡め取られて身動きが取れなくなっている。 子供達はと見回すと、いつの間にか居なくなっていて、みんな逃げられたんだねと、だ から夢なのだと、もう一度安心したところで目が覚めるのだ。 今日もゆっくり出来るのだと教えてくれる暖かい日差しの中で、まりさや子供達にうな されていたことをからかわれて、でもとても安心してゆっくり出来るのだ。 風が強かったのでその日は一日、おうちのなかでおゆうぎ。姉のまりさは踊りが上手。 真ん中のありすは踊りが上手。妹のれいむはお歌が上手で、みんなとてもゆっくりしてい るよと褒めて上げるのだ。 その日は大事に貯めてあったごちそうを出して、みんなでゆっくりご飯を食べるのだ。 綺麗なお花さんに、ぴかぴかしたむしさん。とてもゆっくり出来るご飯になって、子供達 もみんな満足するだろう。 みんながお花さん綺麗だったねと言うと、まりさはつい口を滑らせて、れいむもお花さ んみたいに綺麗だよと言ってしまうのだ。 幼なじみだったまりさと自分がつがいになった切っ掛けは、綺麗なお花さんだったのだ。 きらきらと光る夕日を後ろに、まりさが綺麗なお花さんをプレゼントしてくれたことは、 今でも忘れられない思い出だった。「一緒に暮らそう、れいむ! ぜったい、ぜったい幸 せに、ゆっくりにしてあげるから!」 いつも厳しいまりさがそう言ったのよ、と子供達に教えてやろう。子供達は頬を染めな がらも、幸せを祝福してくれるだろう。その後は、昔見つけた宝物を子供達に自慢してや るのだろう。まりさの一番の宝物はれいむだよ、と言って欲しいな。でも多分、プロポー ズした時に見つけた綺麗な石さんを、まりさは取り出すのだろう。 それは、一番の宝物はれいむだよ、そう言っているのと同じなのに。 ……ぃぃ……ょぉぉ…… 夜はまだ、風が強い。 恐い夢を見ないよう、まりさに寄り添って眠るだろう。すーりすーりとしてくるまりさ に、とてもゆっくりしているわと言われて照れるのだろう。一緒にすっきりしまじょうね と言われて久しぶりに高ぶってしまう。 もうすぐ実りの秋だし、子供達に妹が出来るのもいいかもしれない。狩りもうまくなっ たし、むしろ小さいあかちゃんが居れば冬ごもりの間、子供達はもっとゆっくり出来るか も知れない。ああでもやっぱり。 心地よい闇の中で、やはり夢を見た。 ……どぼじ……げでぐでだ…… あたま がおもい つたがはえて おちびちゃ ん ゆがんだ おかお だいぶくろいけど れいむはおちびちゃんと おちびちゃ ん、おちびちゃ……どこ? おちびちゃ…… ……の……ちびちゃ…… 秋になると、みなで一斉に狩りをする。 姉のまりさも真ん中のありすも妹のれいむも、みな狩りがお上手に育っているだろう。 でもやはり、まりさによく似た姉のまりさは、ぬきんでて狩りがお上手のはずだ。 自慢のかちゅーしゃに沢山の獲物をしまい込んで、得意げに跳ねるのだろう。群れに餌を 納めても、まだ十分に蓄えが出来るのだ。これなら妹達を増やしてもいいかもしれないね。 広場で仲良くなった家族と一緒に、ゆっくりと狩りをする。いつも一緒なのは、やはり ぱちゅりーとありすが番いになった、幼なじみの家族だ。四人で一緒に、小さい頃はよく 遊んでいた。大人になって、独り立ちして、家族を持ってからも、交流を続けていた。 ずっと本当は、ありすはまりさが好きだったんじゃないかなあ、と思っていた。 まりさにプロポーズされた後、ありすとぱちゅりーの二人には報告しに行ったのだ。そ のとき、少しだけありすが悲しそうな表情をしたのだった。もしかしたら、自分たちのた めに身を引いたのだろうか、と勘ぐってしまう。ありすはとても賢くて、友達思いだから。 でもすぐに笑顔になって、プロポーズのことを根堀り葉堀聞かれたのだ。二人して頬を染 めていると、とってもとかいはね、と褒められ、くすぐったかった。 だからと言うわけじゃあないけれど、ありすとぱちゅりーはすっごくお似合いに見える。 とても賢い二人は、とてもゆっくりとしていて、だからいつも四人で悩みや夢を語り合っ た。ありすはいつも引っ込み事案で、それはどうやら親がれいぱーだったことが原因だと、 知り合ってしばらく後で聞かされた。本人もいつれいぱーになってしまうか判らないと、 少し疲れた微笑みを浮かべていたけれど、悩みすぎだよ、とみんなで慰めた。ありすはあ りすで、れいぱーじゃないから。でも、もしれいぱーになったら、ああ、歪んだお顔です っきりーするんだろうなあ、と、とても不安になったことを覚えている。 湖に行った時に、自分のお顔を歪めてみたけれど、とてもじゃないけれどれいぱーみた いな表情は作れなかった。きっとゆっくり出来ないのだろうと、子供ながら身震いしたも のだ。 野いちごさん、ぶどうさん、かきさん。 秋は実りがいっぱいだ。その分、可愛い子供達の笑顔も、いっぱいになる。おうちにの 中で、ささやかなパーティーを開く。子供達が生まれて、もう一年が過ぎるのだ。「みん な、春になったらもう立派なゆっくりだよ!」そう告げるまりさの、誇らしさの中にうれ しさと、巣立ちを控えた悲しさを感じ取れるのは、多分自分だけなのだ。 子供達が寝静まってからまりさに寄り添うと、まりさは声を立てずに泣き出してしまう のだろう。すーりすーりをして、ぺーろぺーろをして、次第に高ぶる心と体に身を任せて。 ああ、でも子供達が起きないかしら。呟いたからか、とかいはだから大丈夫だよ、と言う。 闇の中で綺麗に光る金色の髪の毛をはーぐはーぐしながら、くすぐったがるまりさの頬 をすーりすーりしながら、自慢のお帽子をぺーろぺーろしながら、体中が幸せな感覚に包 まれる。空を飛んでいるよりも、湖を自由に泳いでいるよりも、もっと素敵な浮き上がる 感覚に、次第に意識が闇の中に飲み込まれて。 ああまたあの夢が。ありすがまりさとれいむにのしかかっている夢。れいむを犯してい るはずなのに、顔の一部分だけがまりさになっている。奇妙な夢だなあと思ったらすぐに 現実に引き戻される。 お顔をすり合わせて、どんどん振動が強くなって、ゆ”っ、ゆ”っとうめき声なのか快 楽の叫びなのかが漏れ出でて、まりさはよだれを垂らしながらお顔を歪めて、二人一緒に すっきりー! 闇の中で、寝入ってしまったまりさの頭からツタが生えてくる。しゅるしゅると生える 何本ものツタに、新しい命が宿るのだ。まだ実は育っていないけれども、このおちびちゃ んたちもゆっくり出来る子に育ってくれるのだろう。次第に黒ずんで行くまりさを眺めな がらふと、幼なじみのありすを思い出した。 彼女はれいぱーになることを恐れていた。幸せなすっきりー! が出来るのだろうか。 幸せに、ゆっくり出来ているのだろうか。気にしても仕方がないことだ、自分に出来るこ とは何もないが、でも親友でいることは出来るのだ。 幸せを噛み締めて、ゆっくり元気に育っている我が子を見回す。暗くて見えないが、子供 達はみな幸せそうに寝入っている。 まりさに似て芯の通った姉のまりさ。彼女はきっと群れのリーダーとなるだろう。よく気 が利く真ん中のありす。きっととてもゆっくり出来るだろう。妹のれいむは少しどじだけれ ど、幼なじみのまりさと幸せな家庭を築くに違いない。みな綺麗なかちゅーしゃがとてもよ く似合う、素晴らしいゆっくりに育ってくれた。 もう、すぐに冬がくる。 まりさが作ってくれたこの巣は、とても頑丈な入り口で、ああでもいつの間にか壊れちゃ っているから直さないと。巣の中も汚れている。いくつかの黒い塊がところどころに、ああ、 あれはおちびちゃんだったっけ。開け放たれた入り口の近くにひときわ大きい塊が、とても ゆっくりした表情の、黒く歪んだまりさが。 まりさ。……まりさ。……。 …… ……しゃん…… ……おきゃあしゃん! …… 「もう、おきゃあしゃんってば! ありしゅはありしゅよ! まりしゃじゃにゃいわよ!」 「しょうよ、ときゃいはなありしゅはれいみゅじゃないわ!」 「しょれにおきゃあしゃんはれいみゅじゃにゃいよ! しっかりしてよね、ありしゅおきゃ あしゃん!」 おちびちゃん達はたまに判らないことを言う。 お母さんはありすじゃなくてれいむだよ。 ありすはれいぱーだよ。 親友を犯して殺して巣を乗っ取るれいぱーだよ。 だかられいむはれいむで、ありすじゃあないんだよ……。 れいむはれいむで、ありすじゃあ、ない、よ。 今宵も闇に、夢を見る。
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『SSC part2』 presented by 春巻 ※注意 このお話の《おにいさん》は、香霖堂の店主、河城にとり、さらにはAQNと仲が好い。というように、幻想郷メンバーに知り合いはそれなりに居る設定。 幻想郷キャラには協力を仰ぐ程度で、台詞は存在しない。 冒頭で登場するゆっくりは《直接的で》肉体的な虐待は受けない……けど。 ハイテクな製品が登場しますが、舞台は幻想郷である。 おにいさんがハイテク機器を巧みに操れるのは、にとりちゃんの指導もあるが、おにいさん本人が幻想郷に来る以前はシステムエンジニアをしていたから。 過度な改行はしていない。読みにくければ各自Windowsのメモ帳などにコピペするなど、折り返し機能のあるテキスト閲覧ソフトを使ったりして自分で見やすくして欲しい。というか、メモ帳にコピペしたほうが見やすい、これ絶対。(∵Word2007を使用している) ※以上、注意 朝の目覚めは、優雅に珈琲を飲みながら。 「ゆううううううう!! どぼぢでこんなことにいいいい!!」 「ゆっぐりさせてよおおおおおおおおお!!」 ゆっくりの悲鳴を聞くことから始まる。 ○ お久しぶりですね。 先日、SSC――スーパースローカメラで撮影した活動写真でゆっくりをいじめたおにいさんです。 あの映像を見せた後で、あまりの精神的衝撃に耐え切れず死んだぱちゅりーを処理しようと部屋に入ったところ、れいむも餡子を吐ききって息絶えていた。 タイミングを考慮して、恐らく眼窩から眼球と餡子が飛び出していったところで、心が壊れてしまったようだ。 ちぇんやまりさも具合はよくないようだったが、れいむほどではない。れいむ種というものは、精神面においてはぱちゅりーほどに弱いのかもしれない。 それから一夜経った今日は、先日の生き残りに加えて、今朝玄関先の罠にかかっていたゆっくり四つを追加した。 罠と言っても、よく聞かれるものだ。開け放された窓のしたに落とし穴を掘っただけ。人間、しかもおにいさんの家であり、その癖開け放された窓。何か仕込まれているのではないか、こいつは怪しいぞ、と他の妖怪や妖精ならば考えそうなものだ。たとえチルノでもそう考えるだろう。あの氷精だって計算くらいは簡単に出来るし、弾幕ごっこだって状況判断して出来るじゃないか。 ま、今は氷精を語っても意味が無い。ゆっくりいじめだからな、このスレッドは。 今日捕まえられたゆっくりは、れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。 ありすは、今までここに来たことは無かった。俺が捕まえてくるのは大概が《れい・まり》コンビであったので、いつもと違う反応が見られるかもしれない。 さらに、正直なことを言うと、ぱちゅりー種はあまり来てほしくない。頭がよく、液晶テレビに表示した文字などを簡単に読んでくれる面では重宝しているが、精神的ショックによる喘息の発作(本当にそうなのかは判じ得ないところがある)ですぐに死んでしまい、面白くないのだ。 ビデオを作りときにも、すぐ死んでしまうために面白い反応が得られにくいのだ。 何か、ぱちゅりーを使っても愉快に虐待できる題材があったら、ぜひ教えていただきたい。 さて。 それでは、本日のビデオを放映するとしよう。 今日は、前回も登場し手伝ってくれた虐待おにいさんと、にとりちゃん。更には『文々。新聞』でおなじみの、射命丸文ちゃんにも協力願った。文ちゃんには、空撮をお願いしたのだが、こういってしまうと何をとったか推測できるかもしれないので、早速ビデオを再生するとしよう。 遠隔操作で部屋の照明を落とす。現在は正午を過ぎたくらいであるため、明るさは然程変わらない。そのため、もうひとつの釦を操作して厚手のカーテンを閉めた。これで虐待部屋に光は殆んど入ってこなくなった。 その様子を見ていたゆっくりたち(現在は十個居る)は、俄かに騒ぎ出す。誰も来ていないし、何もしていないのに部屋が真っ暗になったのだ。ハイテク機器のいろはも解からないゆっくりには脅威だろう。 中でも、昨日、似たような体験をした記憶があるまりさとちぇんは、一際騒ぎ立てていた。ゆっくりできなくなるよー、という絶叫は、この上なく邪魔である。 最も、今はそれどころではない。 さっさとスペシャル映像を見てみたいだろう。 まずは標準カメラで地上から撮影したものだ。 ○ 「おそらをとんでいるよ!! ほんとにおそらをとんでいるよ!!」 「れいむ!! まりさたちとりになったみたいだぜ!! これでもうすぐゆっくりぷれいすにつくんだぜ!!」 「ゆゆゆううううう!!」 「うーっ、うーっ!!」 繁みから撮っているため視覚的には判別しにくいが、声で判ると思われる。 上空十メートルほどのところには、うーぱっくに乗ったれいむとまりさが空中散歩を楽しんでいる。 うーぱっくは全部で五個。その内三個には何も乗っていないようだ。 恐らく、どこかの人間の畑に降り立って作物を食い荒らし、あまつまで盗んでしまおうという腹のようだ。 うーぱっくと共に動き回る盗賊ゆっくりがいるというのは、最近ではよく聞く話になった。れみりゃ種亜種のうーぱっくの性質を巧く利用した、賢い奴らだ。 この先にあるのは小さな集落。住んでいるのは年配の、しかも普通の人間である。盗みやすいことこの上ないのだが、その情報はどこから手に入れたのだろうか。有能なボスの手下なのかもしれない。 しかし、このゆっくりたちを乗せているうーぱっくは大柄だ。一般的なサイズとしては大人のゆっくりを乗せるとスペースがなくなるはずだが、まるでゆっくりふたつを乗せても問題が無いように見える。 だが、その方が好都合だ。 「ゆゆっ!! れいむ!! はたけはもうすぐなんだぜ!!」 「ほんとだね、まりさ!! にんげんたちはれいむたちのためにたべものよういしてくれているなんて、ほんとうにゆっくりしているね!!」 「ゆゆう!! これからもよろしくたのみたいものだぜ!!」 なにやら勝手なことを言っている。 撮影しているこの場所は畑から三十メートルの地点に聳える崖の下側。 ふいよふいよと高度を下げつつ崖の上を飛んでくるうーぱっくは、見るからにゆっくりしていて、その魂胆さえなければそのまま空中散歩をさせてあげたいものだが――。 ――世の中、決して、ゆっくりを中心には廻らない。 「う……? う、うあっ!? う゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!??」 最後尾を浮遊していたうーぱっくが、いきなり叫び始めた。前を行くうーぱっくと、それに乗っているれいむとまりさも後ろを気にかけた。 「どうしたんだぜ、うーぱっく!!」 「しずかにしないとにんげんがくるよ!!」 うーぱっくに乗ったまま振り向くふたつの饅頭。うーぱっく本体は急な方向転換を避けるため振り向きはしなかった。 だが。 「ゆうううううううううう!!??」 「どおしでもえでいるんだぜ!!??」 最後尾のうーぱっくの中からは、紅蓮の色をして踊り狂う炎。 段ボールで出来ているうーぱっくの最大の敵のひとつだ。 「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!??」 為す術無く見つめていると、れいむを乗せたうーぱっくの横を飛んでいた空のうーぱっくも叫びだし、間もなく煙と炎を出して燃え始めた。 「ゆううううう!! まりざあああ、あづいいいいいいい!!」 「ゆゆゆ!! うーぱっく、はやぐそいづからよけるんだぜえ!!」 完全にパニックに陥ったれいむに比べて冷静な対応を促すまりさ。やはりこちらの方が餡子の質がいいらしい。 しかし。 「う゛あ゛っっっ!!!」 ちゅどーん、という音を立て、先頭を飛んでいたうーぱっくが、突如として姿を消した。 そのすぐ後ろを飛んでいたまりさを乗せたうーぱっくは、爆風の直撃を受けてバランスを崩す。 目の前で仲間が燃やされている。この状況にあって、うーぱっくには傾いた体勢を立て直せるほどの余裕は無かった。 「まりざっっ!?」 「ゆううううううううううううう!!! れいぶうううううう、はやぐまりざをたずげるんだぜえええええええええ!!」 絶叫を残し、まりさはうーぱっくから落下。 運の悪いことに、ゆっくりたちの目指していた畑の手前には崖があり、その下は硬質の岩だらけ。時々この崖が崩れることがあるらしく、そのたびごとに出来る岩の塊だ。 「ばあああああありいいいいいいいいいざあああああああああああ!!」 「ゆううううううううううううううううううううう!!!!!」 まりさはその岩塊に向かって落ちてくる。 「ぼっどゆっぐりぢいいいいいいいやああああああああああっ!!」 ぶづぐじぃゃああ!! 得体の知れない擬音を残して、まりさはぺしゃんこになった。 《もっとゆっくりしたかった》 その言葉すら遺す事も出来なかった。 「ゆうううううっ、ゆうううううううっ!!!!!」 眼下に広がる岩場には、同心円を描くように餡子の海。それを真上から見ていたれいむは、ただ涙を流すのみ。 「うーーーあーーーーっ!!」 「うあっ、うあっ、うあっ!!」 れいむを乗せていたうーぱっくもブサイクな顔で泣いている。 だが、一番精神的衝撃が大きかったのは、まりさを乗せていたうーぱっくなのだろう。仕事も完了していないだけならまだ救い様がある。だが、乗せていたゆっくりを転落死させてしまうということは、うーぱっくの至上の汚点。その衝撃は計り知れない。 しかし、悪夢はまだ続く。 「……ゆ? !!???」 急に背中が熱くなったことに気づいたれいむ。だが、それに気づくのに、若干ゆっくりしすぎたようだ。 れいむの背後には火の玉がひとつ。 自分の野菜の取り分を多くしようと目論んで、大きなうーぱっくに乗り込んだのが、ここで裏目に出た。丁度のサイズのうーぱっくに乗り込んで、荷物運搬用として大柄なうーぱっくを使ったほうが効率も良かったはずなのだが、それすら解からないのは餡子脳が餡子脳たらしめている証だった。 「ううううううううううううあああああああああああああああ!!!!」 うーぱっくも自分の体が燃えていく痛みに耐えられるはずも無い。あっというまにれいむとうーぱっくは炎に包まれ、まりさの後を追った。 「うーーーーうーーーーーーーーー……」 唯一生き残った、生き残ってしまったうーぱっくは茫然自失。仲間をすべて失い、乗せていたゆっくりも殺してしまった。 完全なる無表情でふらふらと高度を下げ、畑の手前に墜落するように着陸した。 「うー、うー……」 さめざめと涙を流すが、こいつも頭がよろしくない。元をたどればれみりゃ種であるから無理は無いのだが。 「うあっ!!」 近くの繁みには虐待おにいさんが潜んでいることを、うーぱっくは知らなかった。 身動きも、絶叫も残せぬままに、最後のうーぱっくは虐待おにいさんの両腕に引き裂かれた。 ○ 「えれえれえれえれえれえれえれえええれえれえれれれれれれれれれれれれれれれ」 「ちょっと、ぱちゅりー!! なにはいてるの!? しっかりしなさいよ!!」 ホラ。やっぱり即死した。 だから、面白みが無いというのだ。標準カメラの撮影動画で死なれたら、折角のSSCが役に立たないではないか。 それにしても、このありすは精神的に強いのか、上映が終わるとすぐさまぱちゅりーの心配を始めた。セクシャルマシンはそういうものなのだろうか。噂に聞けば、ありす種もぱちゅりー種に及ばないものの中身の質がいいらしいので、この反応にもある程度納得がいく。 他のゆっくりの様子はと言えば、今日連れてきたれいむとまりさは相当なダメージを受けたようで、ゆっゆっと呟いているだけだ。 昨日から居るゆっくりは幾分慣れたようで、呆然と何かを呟くような状態まではいっていない。ただ、見方を変えれば、現実逃避をしているようにも見て取れる。どちらでも大差はない。皆さんが思ったほうで構わないし、俺はとくにその考えに固執しない。所詮、小事の前の大事である。 さて、今日のテーマはもうお分かりのように《うーぱっく盗賊団の抹殺》だった。 実のところ、今回のターゲットがうーぱっくたちになったのには、結構大きな理由が在る。 撮影を手伝ってくれた虐待おにいさんは、その正確をカモフラージュするために、ゆっくり処理を副業としていた。今回おにいさんは、ビデオに出てきた畑の主である集落の長をゆっくり盗賊団から守るという役を拝命していた。それを耳に入れた私が、撮影の許可を得て、今回のビデオが完成したという筋書きだった。 おにいさんも、自分の武勇伝となる記録映画ができたし、集落の長も畑も守ることが出来た。とりあえず、ゆっくりを除外して、皆が利益を得たというわけだ。 どういった手段がとられたかは何となくわかるだろうが、ここでひとつ説明を挟みたい。 まず、うーぱっくの隊列で最後尾を飛んでいた段ボールの中に、火の点いたマッチ棒を投げ込む。これは木の上に潜んでいた犬走椛ちゃんがやってくれた。何でも、今回の撮影で文ちゃんに依頼したときに、文ちゃんが半ば無理やり引き摺ってきたのだ。ちょっと申し訳なく思っている。 最後尾のうーぱっくが墜落を開始したところで、れいむの乗っているのに直近を飛行するうーぱっくを攻撃する。これは、絶望感を煽ってパニック状態に引きずり込むための戦法だ。 案の定れいむが混乱状態になったところで、今度は先頭のうーぱっくに小型合成樹脂爆弾を放り込む。薬剤の調合などは自前だ。 本当なら、注意を逸らされたこのタイミングでまりさを攻撃する手筈だった。だが、先頭のうーぱっくにやたらと近いところを飛んでいたまりさのうーぱっくは、この爆風を直接的に受けてしまった。どうやらまりさは、れいむのみ被攻撃対象とし、自分はさっさと逃げようとしていたらしい。此処に来て、その根性の腐り具合が裏目に出たと言うことだ。 爆風を受けたうーぱっくはバランスを崩し、完全に横倒し体勢になった。まりさはその(ゆっくりたちのレベルで考えて)急な動きを堪えることができず、運悪く真下に控えていた岩の塊(しかも都合よく一番尖ったところ)に落下し、その身体を砕いた。 絶望感に包まれたれいむが乗るうーぱっくには、上空を飛んでいた文ちゃんから火の点いた藁の球体が投げ込まれ、あっというまに火の車。 唯一生き残ったうーぱっくは、予定通りに、虐待おにいさんが破り捨てた。 以上だ。 うーぱっくというゆっくりについて、恥ずかしながら、私はこのビデオ撮影のときが初顔合わせだった。 素材としては段ボール箱に羽と顔がついて、ゆっくりれみりゃのように頭のよろしくない種類だということを知識としていた程度で、実際どのようなものなのかという点では心許無かった。 その弱点を補うべく、この撮影には文ちゃんに協力をお願いした。 彼女もゆっくりを追跡する記事をいくつか書いていたらしく、あっさりと乗ってくれたので交渉はきわめてスムーズであった。 なお、空撮もお願いできたので、今回SSCを持ったのは他ならぬ文ちゃんである。 ブンヤの血が騒ぐのか、SSCの操作法を口頭教授しただけで完璧に使いこなしたのには驚いたが、そのおかげで決定的瞬間を間近で撮影することができた。 虐待部屋は予想通りの大騒ぎだった。 とくに部屋の中に居るまりさ、全四つが、揃いに揃って喚いている。もしかしたら、このまりさたちもうーぱっく強盗団の一味なのかもしれない。別な考え方をすれば、まりさたちの属するゆっくり集団がうーぱっくと仲が良いのかもしれない。 最も、そんなことは関係ない。 今から、もっと恐ろしい瞬間を目の当たりにするのだ。 虐待部屋の餡子の処理が大変になればなるほど、ビデオが高評価を受けたということだから。 ○ 「ゆゆっ!?」 「わかるよー、でもわかりたくないよー!!」 「ぼうやべでえええええ!!」 怒号の飛び交う虐待部屋では、加工後の映像とSSCで撮影された映像が映し出されようとしている。 前回と同じく急激に画像が初期状態に戻されたのを見て、昨日から居るゆっくりにはこれから何が起こるのか理解が出来ているようだ。優秀なのは、このあたりで助かる。 今日から入ったゆっくりも、この発言を受けて恐ろしいことが始まるということが分かったようだ。ゆっくり同士で助け合い(ゆっくりからすれば首の絞め合いだろうか。首なんか無いけど)をしてくれるのは好ましいことだ。 ビデオの映像は、静止画面。うーぱっく五個とれいむ、まりさが、これから自分の身に降りかかる悲劇など知らぬように(実際知らなかったが)楽しそうな遊覧を続けていた。 テレビの静止画像というのは、意外にも不安を煽るものだ。通常動いている映像が映るという先入観のようなものを持っている場合、よからぬことが起こっている、もしくは起こってしまうような気がするのだ。 どうやらこのゆっくりたちも、そんな先入観を既に持ってしまったようだ。余計な先入観は視野を狭めるというが、まさか饅頭の世界にも起こり得るとは思わなかった。 数秒間の沈黙の後、画像がゆっくりと動き始める。今回の映像は、スロー音声も重ねておいた。標準カメラで取った映像にしか対応していないのでまだ面白みに欠けるが、いくらかよいだろう。一回目の教訓を受けて、この映像を撮ったときは椛ちゃんにガンマイクを持たせていたのだ。 壊れたカセットプレイヤーから出る声は気持ち悪い。今虐待部屋には、そんなゆっくりたちのきわめてゆっくりとした会話がかかっている。 「ほぉんとだぁねぇぇぇ、むぁりぃさぁ!! にぃんげぇんたぁちぃはぁ、れぇいいむぅたぁちぃのぉたぁめぇにぃたぁべぇもぉのぉよぉうぅいぃしぃてぇくぅれぇてぇいぃるぅなぁんてぇ、ほぉぉんとぉうにぃゆぅっっくぅりぃしぃてぇいぃるぅねぇ!!」 「ぃゆぅゆぅうぅぅ!! こぉれぇかぁらぁもぉぉ、よぉろぉしぃくぅたぁのぉみぃたぁいぃもぉのぉだぁぜぇぇ!!」 いい加減、これはうざったい。 だが、ゆっくりたちの恐怖心を煽るには充分らしい。先ほども見た画像で、これから何が起こるかなんて、あのインパクトの所為で餡子脳でもメモライズできている。早く終わって欲しい画像なのに中々始まらないのは、生殺しに近い。 そして、ついに、恐怖の時間がやってきた。 「う……?」 身体の中から、 不意なる暑さ。 経験し得ない、 おかしな熱さ。 「う、うあっ!?」 自分で見るのは、 出来ないけれど、 見なくてもわかる、 この熱さ。 「う゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!??」 身体の中から、 広がる熱さ、 気づいたときには、 身体は明るく、 火の玉のように なっていた。 「どうしたんだぜ、うーぱっく!!」 「しずかにしないとにんげんがくるよ!!」 急に叫んだ うーぱっく。 こういう行動、 困るんだ。 振り向き見たのは、 悲劇の序章。 「ゆうううううううううう!!??」 「どおしでもえでいるんだぜ!!??」 知らなければ良かった。 でも、知らずにはいられない。 一番子供のうーぱっく、 火の玉になって消えてった。 「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!??」 「ゆううううう!! まりざあああ、あづいいいいいいい!!」 「ゆゆゆ!! うーぱっく、はやぐそいづからよけるんだぜえ!!」 れいむの横の うーぱっく。 今度はこの子が、 叫びだす。 さっきと同じく、 身体が燃える。 悲劇はまだまだ、 終わらない。 「う゛あ゛っっっ!!!」 一体何が、 起こったの。 先頭飛んでた うーぱっく、 最初っから、最期まで、 何がどうだか知らぬまま。 身体は空気の 塵になる。 「まりざっっ!?」 「ゆううううううううううううう!!! れいぶうううううう、はやぐまりざをたずげるんだぜえええええええええ!!」 油断したのが、 不味かった。 急に倒れた、 うーぱっく。 いきなり横に、 なるものだから、 ゆっくり反応、 できないよ。 「ばあああああありいいいいいいいいいざあああああああああああ!!」 「ゆううううううううううううううううううううう!!!!!」 まりさは、お空を 飛んでいる。 最初は、箱の 力を借りて、 今度は、自分の 力だけ。 だけど、ホントは、 お空を飛べない。 まりさは、お空を、 飛べないぜ。 「ぼっどゆっぐりぢいいいいいいいやああああああああああっ!!」 ぶづぐじぃゃああ!! 「ゆうううううっ、ゆうううううううっ!!!!!」 「うーーーあーーーーっ!!」 「うあっ、うあっ、うあっ!!」 仲間がみるみる 減ってゆく。 流れる涙は、 増えてゆく。 悲劇はますます、 加速する。 「……ゆ? !!???」 「ううううううううううううあああああああああああああああ!!!!」 またも燃えてく うーぱっく。 今度はれいむも 道連れだ。 「うーーーーうーーーーーーーーー……」 最期に残った うーぱっく。 最早、生きてる 仲間も居ない。 「うあっ!!」 もう、これ以上は無いはずだ。 こんな悲劇は、無いはずだ。 そう思っていたれど、 ゆっくり中心の世界は、無い。 To be continued...? あとがき。 何となく。SSCで撮影したら、こんなのも面白いかなと思って、燃やしてみました。 今度は、れみりゃを被写体に、おにいさんは大暴れする……、かもしれませんよ。 ○過去作品リスト(ゆっくりいじめのみ) 拳の歳末 (fuku1905.txt,fuku1908.txt) SSCシリーズ 第一弾『握りつぶす』(fuku2196.txt) その他、幻想郷キャラいじめを数作品(春巻リリーホワイト、人参と胡瓜の悲劇、放置プレイ、陰の薄い秋姉妹いじめ) このSSに感想を付ける
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竹取り男とゆっくり 幻想郷のある山の上に男が一人住んでいた。 野山に入って竹を取りつつ、よろずのことに使っていた。 男のもとには週に一度のペースで商人が竹を買いに訪れ、男はこの商人から食料を買って生計を 立てていた。 ある日のこと…。 いつも来るはずの商人が、この日はやって来なかった。 なにか都合があったのだろう…… 男は家の裏の納屋からホコリをかぶった荷車を引き出し、山のように竹を積んで自ら街におりて いった。 男の竹材は飛ぶように売れて、荷車は早くも空になる。 荷車の重みは男の財布の重みに変わった。 たまには美味しいものでも食べようと甘味屋通りに入ったところである。 「ゆっくりしていってね!!」 突然大きな声をかけられ、男が声のほうへ振り向くと、ガラスケースに入れられた生首が鎮座し ていた。 「なんじゃこりゃあぁぁっ!?」 男が絶叫すると、店主が中から出てきた。 店主は『ゆっくりまんじゅうの商品化』を知らない男を瞬時に"おのぼりさん"だと見抜き、丁寧に 説明した。 街にゆっくり加工場ができたこと。 まんじゅうの餡子には小豆よりゆっくりを使ったほうが安価で、味も変わらないこと。 男は次第に納得していった。 「おひとついかがですか?」 と勧める店主が出してきたのは、小さなプチトマトほどのゆっくりの赤ちゃんだった。 男が受け取ると、赤ゆっくりと目が合った。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 まだ生まれたばかりの赤ゆっくりは手のひらの上でフワフワと上下に揺れ、ミニチュアサイズの 赤いリボンもユラユラ揺れた。 どうやらジャンプしているつもりらしい。 うにうにとした感触が気持ち悪かった。 「食えるの? これ。てか俺食うの?」 「中の餡子もやわらかくておいしいですよ。召し上がってみてください」 「ゆーっ! ゆーっ! おじしゃん、りぇいみゅをゆっくちさせちぇにぇ!」 この赤ゆっくりはまだ幼すぎて、自分が食べられる対象だということが分かっていないようだ。 キラキラと目を輝かせて男を見上げ、けたたましく『ゆっくり』を繰り返した。 う~ん…と唸りながらも、男は意を決すると一息に口に放り込んで、歯ですり潰した。 「ゆぎゅ…っ」 一瞬だけ赤ゆっくりの断末魔が響いたが、すぐに独特の風味が口いっぱいに広がった。 「ウマー」 「気にいっていただけましたか? 今のは今朝うまれたばかりの赤ちゃんで、皮も餡子もやわらかく どなたにも気に入っていただけるんですよ」 「うめぇ! 3ダースくれよ!」 実は、男は大の餡子好きだった。 これまでたくさんの饅頭や羊羹を食してきたが、このゆっくり饅頭は格別だった。 「お客さま、実はこんな商品が……」 十分な手ごたえを感じた店主は、男に対しておもむろに話を持ちかけた 男が山の自宅に帰ったとき、すでに陽は落ちていた。 空の荷車を納屋におさめると、先ほど甘味屋で買った商品をテーブルにおいて一息ついた。 商品は紙袋につつまれて中は見えず、またかなり重かった。 「店主に勧められるままに買っちまったけど、いやに重いな。 …まぁ安かったからいいが」 事実、今日稼いだ金額にくらべれば、この商品ぐらいいくらでも買える値段だった。 店主は中身は秘密だと言った。が、必ず満足いただけるに違いないとも付け加えた。 「試食のゆっくりに大満足だったから信用して買ったが、あの店主やるな…」 週に一度しか商売しない自分とは手練手管が違っていた。 「ではさっそく」 男は気を取り直して包み紙を破った。 すると、中から出てきたのは透明のケース。そして直径20センチほどのゆっくりが二体、 ケースの中にぎゅうぎゅうにおさまってぐっすり寝ていた。 「でか…」 昼間の赤ちゃんがこれほど育つのか、と男は感心した。 実際にはもっと大きくなるが、男はまだゆっくりについてよく知らなかった。 右側には昼間見た赤いリボンをしたゆっくり。 左側には金髪に黒いとんがり帽子のゆっくり。 どちらも大きな口からよだれを垂らし鼻ちょうちんをふくらませた醜悪な寝顔だった。 そうして視線を移していくと、ケースの左横からテープが出ていて 『これを引いて起こしてください』 と書いてある。男は素直にそのテープを引いてみた。 すると、ゆっくりたちの床がスライドして、とんがり帽子のゆっくりが下の床に落ちた。 デンッ! 「ゆ゙っ!?」 とんがり帽子のゆっくりは落ちた衝撃で目覚めた。 「な~る♪」 男は仕組みを理解し、さらにテープを引いてスライドを抜き取った。 デンッ! つづいて赤リボンのゆっくりが落ちたが、こちらはまだ眠っていた。 「鈍感な奴だなぁ…」 「ゆうぅ……ゆっ?」 男があきれていると、先に目覚めたとんがり帽子が男に気がついた。 「ゆっくりしていってね!」 昼間、甘味屋通りに足を踏み入れた瞬間に言われたのと同じセリフ。 こいつらのあいさつ文句かと思い、男も同じセリフを返した。 「ゆっくりしていってネ!」 …返した後で、なにも声まで真似ることもなかったと後悔した。 「おじさんだれ? まりさ、おじさんのことしらないよ?」 こいつ"まりさ"って名前か。 「俺は今日お前らを買ってきたんだよ。まぁ飼い主みたいなもんかなぁ…」 「かいぬし? かいぬしってなんだかしらないけど、おじさんはゆっくりしてるひと?」 「んー、まぁゆっくりしてるかな」 こいつの『ゆっくり』という言葉の使い方に疑問を感じたが、適当に流しておいた。 「じゃあ、おじさんはまりさもゆっくりさせてね。ここせまいよ! ここじゃせまくて まりさゆっくりできないよ! おじさんははやくまりさをここからだして、ゆっくりさせてね!!」 なんだこいつら!(怒) 確かにこのサイズのゆっくりにこのケースは狭いと思うが、この偉そうな口調はなんだ。 しかもこの顔。 自信に満ちあふれて命令してくるこの憎たらしい顔! 「どうしたの? なんでだまってるの? おじさんばかなの?」 「むか!」 頭に血がのぼった瞬間、まりさの声にもう一体のゆっくりが目を覚ました。 「うー、うゆぅ…。 ……ゆ? まりさ、ゆっくりしていってね!」 「ゆ! れいむおきたんだね! れいむもゆっくりしていってね!」 まりさはそれまでのやり取りをすっかり忘れたような様子で、目覚めた隣のゆっくりとあいさつを 交わしていた。 え~と、この鈍感なのがれいむ…と。 俺は怒りをおさめ、れいむというゆっくりがどんな奴なのか観察することにした。 れいむとまりさは『ゆっくりしていってね』を何度か繰り返すと、お互いに頬擦りし始めた。 「きめぇ!」 だが、ちゃんと頬を擦りつける動作をするには、このケースが狭すぎた。 「ゆ? まりさ、ここせまいよ。これじゃゆっくりできないよ」 「そうだよれいむ。このおじさんがまりさたちをこんなところにおしこめたんだよ。おじさん、 ゆっくりしてないではやくまりさたちをここからだしてよ!」 「そうだよ、はやくだしてよ」 「どうしてつったってるの? ことばがわからないの? ばかなの?」 「ばかなの? おじさんばかなの?」 憤慨した!!! 「うらあっ」 押し込めたのは俺じゃねぇ! 俺はバカじゃねぇ! 男はちゃぶ台をひっくり返すようにケースを投げ上げた。 「ゆぶっ」 「ゆ゙あ゙あ゙ああぁ」 ケースは空中で勢いよく8回転した後、木製の床に落ちて盛大な音を立てた。 「こんのクソ饅頭がッ」 男の怒りはそれだけでおさまらず、大股にケースに近づいた。 「ゆぐっ…! おじさん…どうしてこんなことするの…ゆっくりやめてね…?」 ケースのふたが壊れて外に投げ出されたまりさは、男の形相に怯えて震える声でうったえた。 「おじさん、まりさとゆっくりし…」 だが、男はまりさの体をむんずと掴み上げると、思いきりぶん殴った。 「ゆぎゃんっ!!」 まりさの体は壁に叩きつけられて平べったくひしゃげ、ボタリと床に落ちた。 衝撃で頬の皮が破け、中の餡子が露出している。 「ゆ…ゆぶぅぅぅぅ……」 まりさがよろよろと起き上がると、破れた傷口から餡子が飛び出てしまった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ばり゙ざのあ゙んごがあ゙あ゙ぁぁ!! どぼじでごんなごどずるの゙お゙お゙お゙」 まりさは涙や涎にまみれながら、歯茎をむき出してむせび泣いた。 「まりさ! まりさ! …おじさん、おねがいだから、まりさをゆっくりゆるしてあげてね!」 ふたの開いたケースから這い出たれいむは、さっきまで一緒に悪態をついていたことも忘れて まりさの命乞いを始めた。 だが、まりさは自分の命乞いをしてくれるれいむの気持ちを反故にするような言葉を発し始める。 「れいぶがわるいんだよぉおじさん! れいぶが…ゆっくりできないのはおじさんがばかだからって そういったんだよおぉぉ!」 このままでは殺されると感じたまりさは、すぐそれとわかるような嘘で男の注意をれいむに向け ようとした。 「ゆ!? ゆゆう!!?」 れいむのほうは、あまりに唐突なありすの言葉に、餡子脳が混乱して絶句してしまった。 「ゆぐっ、ぞうだよ、れいぶがわるいんだよ! ばりざはおじざんのごど、ごれっぼっぢもばがなん…」 「おら゙ぁ!」 「ゆがあ゙あ゙あ゙あぁぁぁ…ぶびゃ!!!」 まりさは男に蹴り上げられ、壁に叩きつけられて餡子を撒き散らした。 今度は打ちどころが悪かったようだ。 「ぐぽぇ…」 ボトボトボト。 口から大量の餡子を吐き出したまりさは、焦点の定まらない目をぐるんぐるんと回して倒れた。 男はおとなしくなったまりさをつまみ上げた。 「ごぷっ…ゆぐ…ゆぐ…ゆっぐじ…ざぜで…………ゆっぐじ…じだい…」 まりさはでろでろと餡子を垂れ流しながら、うわ言のようにつぶやいた。 口や傷から流れる餡子から、むあぁ…と甘ったるい臭気が上がる。 まりさの姿に、男もここへきて落ち着きを取り戻しつつあった。 「だんでぼ…ずる゙がら゙………ゆ゙る゙じでえ……ごろ゙ざな゙いでえ……」 「…もう悪態ついたりしないか?」 懇願するまりさを見て、男は念を押した。 「じばぜん…じばぜん…ゆ゙る゙じで……ゆ゙っぐじじだい゙……」 「…お前もしないか?」 さっきまでケースの中で一緒だったまりさに裏切られたり、そのまりさが殴られて蹴られて 瀕死の重傷を負わされる様子を見ていたれいむは恐怖と混乱で固まっていたが、急に男が自分を 振り向いたのであわてて我に返った。 「ゆ…ゆぇ!?」 「もう悪態ついたりしないか!?」 「ひぃっ! もうしません! ここでゆっくりしたいですうぅぅぅぅぅ!!」 「よし、じゃあ許してやる」 男はそう言って、涙やら涎やら傷口の餡子やらでぐちゃぐちゃになったまりさの体をつまみ上げ、 ケースを持ち上げてテーブルの上に据えなおした。 「ゆうぅ…ゆうぅ…」 いまだむせび泣いているボロボロのまりさと、震えているれいむの体をケースの隣に並べて置くと、 男は首をひねった。 「たしかにこのケース、小さいよなぁ」 男はケースと二体のゆっくりの大きさを見比べながらつぶやいた。 もはやゆっくりたちも狭いと文句を言うことはなく、言われるとおりにします、といった様子で うなだれている。 ふたも壊れちまったしなぁ…直るかな…?」 男は割れたふたをケースの上部に置いて、下から接着面を見上げた。 その時だった! まりさはそれまでの様子からは想像できない機敏さで、れいむの体を突き飛ばした。 ぐにゅ! 「うわっ!」 「ゆゆっ!?」 突き飛ばされたれいむは、ちょうどテーブルと同じ高さにあった男の顔面に衝突した。 体が饅頭でできているためか、れいむは男の顔面に張りついたままだった。 「こんなところじゃゆっくりできないよ! らんぼうでばかなおじさんはれいむといっしょに ゆっくりしねばいいよ!!」 なんと、今までの惨めな姿はすべてまりさの演技だったのだ。 傷は深かったが、体全体の餡子の量は致死量に至るほど失われてはいなかったのである。 こうして男がまりさを許して隙を見せるまで、まりさは演技を続けていたのだった。 「じゃあね! ばかなおじさんと、ばかなれいむ! まりさはもっとゆっくりできるところにいって ゆっくりいきていくよ!」 「ぐうぅ…」 「ゆっくりしね! れいむといっしょにゆっくりしね!」 すぐに逃げればいいものを、ご丁寧に口上を述べてからまりさはゆっくり逃げ出した。 「このやろう!!!」 男は顔かられいむを引き剥がすと、まりさを追って駆け出した。 小さなゆっくりと、大きな人間と。 まともに走って、どうして逃げられることがありよう。 男は簡単にまりさの逃げ道に立ちはだかった。 「このクソ饅頭…もう許さねぇ…」 「ゆぐ…ぐ……」 あれほど強気だったまりさは、恐怖のあまり再び泣き出した。 「ゆあ゙あ゙ぁぁぁんゆ゙る゙じでえ゙ぇぇぇぇ!! だだゆ゙っぐじじだい゙だげだっだの゙お゙お゙お゙」 まりさは歯茎を剥き出しにして、家も揺れんばかりな泣き声を上げた。 「ばじざはでいぶどい゙る゙の゙がい゙や゙だっだだげな゙の゙お゙お゙お゙!!! お゙じざんがでいぶを゙ お゙い゙だじでぐでだらい゙っじょに゙ゆ゙っぐじ…」 男はまりさを両手で持ち上げると、 「ふん!」 と両手の親指でまりさの体をぱっくり割った。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙な゙んでえ゙ぇ!? な゙んでごどずる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!」 まりさは足のあたりを真っ二つに裂かれ、黒々とした甘そうな粒餡を露出した。 「い゙だい゙よ゙おっ!! でい゙ぶぅ!! でい゙ぶぅ!! だずげでえ゙え゙ぇぇえ゙ぇぇぇ!!!!!」 どれほど汚いのか。 二度も裏切られたれいむが助けに来るはずもなく、遠くでこの惨状を眺めているだけだった。 誰も助けてくれないまりさはぐちゃぐちゃに顔をゆがめながら絶望を味わった。 男は湯気でも吹きそうなくらいホクホクとしたまりさの餡子に顔を近づけた。 「ゆ゙ががあ゙あ゙あぁぁぶばああっぁぁぁぁあ゙っ!!!!」 途端にまりさは断末魔のような叫びを上げた。 「ずわ゙な゙いでっ! だめ゙えぇぇぇえぇばでぃざのあ゙んごずっぢゃだべえ゙え゙ぇぇ!!!!」 生きたままジュルジュルと体内の餡子を吸い出されていくおぞましい感触。 命の源の餡子を断続的に吸われるたびに、まりさは激しい苦しみに襲われた。 吸い出せる餡子が少なくなってくると、男は舌を伸ばしてまりさの体の中を舐め上げた。 「うゔっ…うぎゅゔっ! ……ぐ…ぶっ…! ぶゅぐっ…ぎゃびゅ! ………」 遠のいていく意識の中、男の舌で皮の内側を舐め上げられるたび、痛いような、くすぐったいよう な感覚が全身を走った。 9割ほどの餡子を男に食べられたまりさは、だらんと舌を垂らして白目を剥き出したまま ビクンビクンと痙攣を繰り返した。 「ぷはぁ…!」 男は真っ二つに裂かれたまりさの切り口から顔を上げた。 性格は言い表せる言葉も見つからないようなド腐れ外道だったが、餡子の味はなかなかのもの だった。 皮の外側のまりさの顔を見ると、白目を剥いたまま昇天していた。 カタカタカタカタカタカタ…… なにか硬質のものが打ち合わされる音がしたので見てみると、れいむが男を見上げたまま歯を 鳴らして震えていた。 「ああ…俺な…餡子が好きなんだよ。餡子"だけ"が好きで好きでたまらないんだよ…。もしも ナマ言ったり逃げたりしたら、お前もこいつみたいに中身だけ食い荒らすぞ」 男はヒラヒラと、ゆっくりまりさだったものの皮を振って見せると、それを生ゴミ入れに乱暴に 投げ捨てた。 「ゆぶぇ…」 れいむはその瞬間、恐怖のあまり口から一握りの餡子を吐き出して失神してしまった。 男はれいむをつまみ上げるとケースの中に入れた。 壊れたふたは、もう必要ないので捨てた。 終 続編? ~あとがき~ なんか目覚めたので書いてみた。 関連スレに感想くれたら嬉しい。 「虐待厨氏ね!」でもべつにかまわんよ。 耐性ついてるしガードも堅いから。 読んでくれた人、ありがとな。 ではまた~。 ~追記~ 一部に誤表記があったので訂正。 あと、アク禁で書き込めなかったのでここで。 感想と訂正箇所教えてくれたみんなサンクス。 このSSに感想を付ける